真核生物リボソームの品質管理における基質認識機構の解明
Project/Area Number |
19K06487
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43010:Molecular biology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北畠 真 京都大学, 医生物学研究所, 助教 (10321754)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | リボソーム / 品質管理 / ユビキチン / RNA |
Outline of Research at the Start |
真核生物リボソームは4本のRNAと80個のたんぱく質から構成される、精緻で巨大な複合体である。この活性中心に小さな点変異が挿入されるだけでリボソームの活性は失われてしまうが、このようなリボソームを選択的に分解する「品質管理」が細胞には備わっていることが分かってきた。細胞がどのようにして機能不全リボソームを見出すのか、その分子機構を出芽酵母を材料にして解明しようとしている。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにPlg1遺伝子のさまざまな位置にUAGコドンを挿入し、また、Plg1のC末端にHis6タグを挿入したバリアントを用意することができており、本年度はこれを酵母で発現させながら、BpaRSとサプレッサーtRNAの共発現を利用してUAGコドンへのBpa挿入を確認していく実験を行った。これら一連のセットにおいて、量の多い少ないはあるもののBpaを含むPlg1の発現がanti-His6抗体によるウエスタンブロッティングで確認されたが、残念ながらUV照射によるクロスリンク産物を明確に同定するには至らなかった。バリアントによってはクロスリンク産物のバンドがウエスタンブロットで確認できる場合があったが、再現性が低く、大量培養により質量分析を行うまでには到達していない。考えられるひとつの理由はPlg1のC末に識別用のHis6を融合していることである。Bpaによるサプレッションが起こった全長のPlg1だけを回収するため、C末端にHis6タグがどうしても必要である。しかしこのPlg1は、すでにそのC末端をリボソームに未着させて結合することがcryo-EMにより分かっており、C末端へのHis6タグの融合がその機能に大きな影響を与えることは自明であった。実験の必要からそのような融合を行ったが、これが安定的にPlg1がリボソームに結合することを阻害していたかもしれない。その反省から、Plg1のあまり保存されてない領域をランダムに選んでHis6に置換するスクリーニングを行い、機能に影響のない置換体の作出に成功したところである。ひきつづきこちらをベースにしてさまざまなBpa挿入を作り、目的を達成したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は実験系の要請からPlg1のC末端にHis6タグを付ける必要があり(BpaによるサプレッションでUAGコドンにBpaを挿入させるが、正しくサプレッションが起こった分子だけを選択するためには下流C末端側にHis6タグをつけてウエスタンブロットやNi-NTAによる全長Plg1の選抜を行う必要があったため)、そのコンストラクトを元に準備を進めていた。しかしこの領域がリボソーム結合部位であることから、そもそもこのコンストラクトがリボソームへの結合能力を低下したものになる、という予定外の現象に遭遇することとなった。そのためC末端にHis6タグをつけるのを放棄し、C末端付近の保存されていない配列をHis6に置換することで、リボソームへの結合を阻害せずにNi-NTAによる全長分子の精製や抗体による検出が可能になるものを用意することが必要だった。2022年度後半に個人的なライフイベントがあり最後のとりまとめが遅れてしまったのも研究が停滞した理由のひとつであった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度後半にあったライフイベントについては徐々に整理が進んでおり研究の時間がほぼ回復できている。His6を一部含む形で機能的なPlg1タンパク質を作出することに成功しており、UAGコドンをさまざまな位置に挿入することにも成功している。本年度はこれを大量発現して紫外線を照射することで、当初の目的だった架橋産物の同定がいよいよ可能である。培養や照射の条件、UAGコドンの位置の最適化などを行い、重要因子の架橋産物をひとつでも多く見出して解析する予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(2 results)