Project/Area Number |
19K06687
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 昌和 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 准教授 (60580496)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | エピブラスト / 細胞競合 / 多能性 |
Outline of Research at the Start |
多細胞生物の発生では、ゆらぎにより個々の細胞の分化状態などに一時的にばらつきが生じる。正確な発生を遂行するためには不適合な細胞を排除することが必要であり、その様な排除を行う仕組みの一つに細胞競合がある。しかし細胞競合研究の多くはハエの組織や培養細胞に人為的に導入した前がん状態の異常細胞の排除の研究であり、哺乳類の正常発生で生じる細胞状態のばらつきに関する研究は少ない。特に隣接細胞の状態を認識するメカニズムについては全くわかっていない。本研究では申請者が見出した、着床前マウス胚の多能性細胞(エピブラスト)の形成時に起こる細胞競合による品質管理機構に着目し、不適合な細胞を認識するしくみを解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
マウスエピブラストにおける細胞競合を性質の近い多能性幹細胞である ES 細胞で模倣し、 loss of function などのゲノムワイドスクリーニングを可能にすることを目指した。まず、エピブラスト同様 YAP の局在レベル依存的に競合がおこるかを検証するため、人為的に YAP が細胞質に局在する系統および YAP が核 に局在する系統の樹立を試みた。YAP の局在は Hippo シグナルによって制御されるため、Hippo 構成因子であるリン酸化酵素の Lats+GFP を強制発現させ YAP を細胞質にとどまらせることと、ドミナントネガティブに働くリン酸化ドメインを失活させた Lats Kinase Dead(Lats KD+mCherry)を強制発現させ YAP を核へ移行させることを狙った。これらのYAP局在を薬剤(ドキシサイクリン)投与依存的に制御できるようにし、実際に狙いどおり動態が変化することを確認した。またこの両ES細胞が競合を起こすかどうか検証し、阻害剤ライブラリを利用したスクリーニングを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LatsおよびLats KDそれぞれの強制発現 ES 細胞で YAP の 局在をDOX依存的に細胞質or核のパターンをつくりだすことに成功した。 この2種類のES細胞は、それぞれ8細胞期胚にインジェクションするとともにエピブラストに寄与できるが、両方を混ぜてインジェクションするとYAPが核移行するLats KD ES細胞がエピブラストに寄与し、YAPが細胞質に局在するLats ES細胞は排除された。これはこれら2種類のES細胞に細胞競合のポテンシャルがあることを示唆しているが、通常のES 細胞培養培地 (Serum/LIF/2i)で、ES 細胞のみをまぜて培養しても競合はおきなかった。ES 細胞が胚の中 では競合をおこすことから、胚の中での環境を再現するため、胚培養培地 KSOM に栄養外 胚葉から分泌されると考えられる LIF や WNT が存在する状況を作り出した (KSOM+LIF+Gsk3b 阻害剤)。この環境下では ES 細胞だけでも単独では 2 種類とも生存し、共培養条件下では競合を起こし LatsKD ES 細胞(赤色)が勝者となった。 これらの成果から、in vitroでエピブラストの競合を模倣することはおおむね達成されたと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
LatsおよびLats KD強制発現ES細胞を用いたBINDSによる支援で約400種類の阻害剤ライブラリーを用いて、競合を抑制するような分子のスクリーニングをおこなったところ、LatsもLats KDも両者との細胞死を引き起こすケースが大多数であり、目的の阻害剤は得られなかった。in vivoでは細胞競合を含む細胞死を抑制できる阻害剤でもin vitroにおいては細胞死を有意に抑制できなかったことから、ES細胞を用いたin vitroと胚のin vivoではTead/YAPに依存した細胞競合のメカニズムが異なっている可能性が考えられる。今後、in vivoとin vitroの競合時におけるRNAシーケンスの結果を取得しそれらを比較することで、メカニズムの相違点などを検証していく予定である。
|