硬骨魚類メダカの種内変異を利用した季節繁殖停止の制御機構の解明
Project/Area Number |
19K06785
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45010:Genetics-related
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Research Institution | National Institute for Basic Biology (2022) Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences (2019-2021) |
Principal Investigator |
大竹 愛 (四宮愛) 基礎生物学研究所, バイオリソース研究室, 助教 (60452067)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 光周性 / 季節繁殖 / メダカ / 地理的変異 / QTL解析 / 次世代シーケンス / 生殖腺指数 / QTL-seq / RNA-seq / 卵巣 |
Outline of Research at the Start |
メダカは日長の季節変化に対して明瞭な応答を示す。日本各地に由来する系統について短日暴露による繁殖停止の誘導を解析した結果、低緯度の系統において短日応答性が喪失していることが明らかとなった。本研究では、短日応答の種内変異を利用して、次世代シーケンサーを利用した遺伝学的解析およびトランスクリプトーム解析、遺伝子編集技術を応用した機能解析を行い、秋(短日)の感知に関わる遺伝子、繁殖停止を制御する遺伝子を明らかにすることを目的とする。本研究により脊椎動物の日長感知と繁殖停止の分子メカニズムの理解を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
温帯地域では季節変化に伴って生物を取り巻く自然環境が大きく変動する。生物は日長や温度の変化を感知して環境変化に適応しているが、その分子機構は不明な点が多い。メダカは長日繁殖動物であり、短日条件下で生殖腺が退縮することが知られているが、短日応答には地域差があることが示唆されていた。我々は日本各地に由来するメダカについて、長日繁殖状態から短日(10時間明期14時間暗期)に移行して2週間曝露し、生殖腺指数(Gonadosomatic index, GSI)を指標として生殖腺退縮の程度を比較した結果、低緯度地域に短日の影響が不明瞭な集団が存在することを明らかにした。本研究では、脊椎動物の季節繁殖における短日感知と繁殖抑制の分子メカニズム解明を目指し、短日で生殖腺が退縮する清須集団と串間集団(応答型)、顕著な退縮がみられない宮崎集団(不応答型)を用いて、次世代シーケンサーを利用した遺伝学的解析およびトランスクリプトーム解析、ゲノム編集技術を応用した機能解析を行っている。 本年度は、串間集団、宮崎集団のF2世代を使ったQTL-seq法(Takagi et al., Plant J 2013)で検出された、2つの量的形質遺伝子座(QTLs)の範囲を精査し、存在する遺伝子の種内多型を解析した。また、QTL領域を絞り込み候補遺伝子を同定するため、現存する宮崎、串間自然集団G0と、その子孫G1について、短日応答を解析した。また、短日条件に暴露された清須と宮崎の脳下垂体、視床下部を含む脳領域のRNA-seqデータから、発現量に系統差があるQTL領域の遺伝子について、短日応答に関わる候補遺伝子を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの清須と宮崎のQTL解析からは9番染色上のおよそ3 MbのQTL領域が同定されており、100以上の遺伝子が位置していた。このQTL領域の範囲を限定することを目的として、串間と宮崎のQTL-seq解析(Takagi et al., Plant J 2013)を行った。その結果、染色体6番、および20番のどちらも約2 Mbの領域にQTLが同定されたが(信頼区間95%)、清須、宮崎の遺伝解析で同定されたQTL領域とは異なる染色体であったため、新規のQTL領域に存在する候補遺伝子を同定するために、宮崎、串間の自然集団および串間の子孫G1、G2世代の短日応答の解析を進行中である。串間および宮崎の野生個体(G0)の短日応答の解析から、各自然集団内に短日応答の多型があることが示され、その出現頻度は有意に異なり(コクラン=アーミテージ検定、P < 0.01)、短日不応答型から得た串間G1の短日不応答型の割合は、選抜しないG1から得た場合より有意に高かった(P < 0.05)。今後、これらの異なる短日応答を示す個体のゲノム配列の比較をおこなう。また、清須と宮崎について、短日条件下、点灯時と消灯時の2タイムポイントについて、下垂体、視床下部を含む脳領域のトランスクリプトーム(RNA-seq)データを用いて、系統間で発現量が変動する遺伝子の比較を進めた。各系統について、それぞれのタイムポイントで800から1200の遺伝子有意に発現上昇していた(fold change > 1.5, p < 0.05)。QTL領域においては、349遺伝子中7-11の遺伝子が各系統において発現上昇していた。
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Strategy for Future Research Activity |
宮崎、串間自然集団とその子孫に短日応答の多型が存在した結果から、異なる短日応答を示す個体のゲノム配列を決定および比較し、短日応答に関連するゲノム領域を同定する。その結果を、既に得ている串間と宮崎を含む九州4系統40個体の多型データと比較する。清須、宮崎のトランスクリプトーム(RNA-seq)解析においては、検出された短日応答に関連して変動する遺伝子群について年内変動、日内変動を解析し、短日応答に関わる候補遺伝子を検討する。各遺伝子の発現動態については既に解析済の結果を利用する(吉村ら、未発表)。短日による季節繁殖の緯度間変異、繁殖停止機構について、本研究で得られた知見を論文で報告する。
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Report
(4 results)
Research Products
(3 results)