Elucidation of Rho paradox aiming at development of molecular target drug.
Project/Area Number |
19K07695
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
荒木 智之 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (40438825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 知史 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (60519320)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | メチル化異常 / ゲノムインプリンティング / シグナル伝達経路 / 細胞骨格 / Rhoタンパク質 / small GTPase / がん / 分子標的薬 / がん細胞の浸潤 / がん細胞の転移 / Rho / ストレスファイバー |
Outline of Research at the Start |
低分子量GTPaseであるRasファミリーは、細胞内外のシグナルに呼応して栄養の取り込みやストレスファイバーの形成など細胞増殖に必須な多様な細胞活動を制御するタンパク質で ある。この遺伝子異常は30%以上(膵臓がんでは90%)のがんで活性型の変異が報告されており、 重要な原がん遺伝子であることが知られている。しかし、Rasファミリーを標的とした抗癌剤の開発は30年以上の月日と膨大な労力にも関わらず未だに成功していない。その原因はRasファミリータンパク質の極めて異質な分子動態に起因するものである。本研究はこれを解明することにより分子標的薬の開発につながる基盤研究を提供するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
RAS遺伝子群は真核生物内で広く且つ高度に保存された低分子GTPaseであり、悪性度の高いがん腫において高頻度に変異が認められる。このRAS遺伝子ファミリーの一種であるRho遺伝子は細胞骨格の制御に中心的な役割を果たし、これの変異は細胞の形態形成や細胞内の物質輸送を制御することでがんの浸潤や転移を活性化させることがわかっている。近年、がん治療を目的としたRhoタンパク質の阻害薬の開発が望まれているが、世界規模での精力的な取り組みにも関わらず、有効な薬剤は見つかっていない。その理由の一つが、「Rhoタンパク質は活性化しても不活性化してもがんが悪性化するという」ユニークな動態を示すことにある。本研究は、がん細胞におけるRhoタンパク質のこの不可解な性質を明らかにすることにより、新規の抗がん剤(分子標的薬)の開発に寄与しようとするものである。 我々はこれまでの研究で「機能欠失を起こしたRhoタンパク質シグナル伝達系の下流因子が、別のRhoタンパク質ファミリーのシグナル伝達経路に働きかけて機能を活性化する」というモデルをたてて研究を進めている。このモデルを実証するため、様々なRhoタンパク質の変異体を作成し、解析を行ったところ、これまで報告のない一つの有力な変異遺伝子を取得した。解析の結果、この遺伝子変異は細胞の形態形成異常を引き起こすことを明らかにした。また、これら遺伝子異常と特定のがん腫、更に生活習慣との関係をゲノムレベルで調べ、特に細胞骨格の形成維持に関わる遺伝子の発現レベルでの異常をピックアップするためにDNAメチル化解析を行った。その結果、細胞骨格制御に関わる遺伝子のメチル化レベルでの変異を発見した。また、膵臓細胞のDNAにおいて発がんのドライバー遺伝子のメチル化異常を発見した。現在、これらと細胞骨格制御機構との関連を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響(原材料不足や工場稼働率の低下)で特に遺伝子解析関連試薬の納入が遅れたため、解析に遅れが生じている。また、標的タンパク質の解析に使用する機器の不調により、新規機材の導入まで解析が行えなかったことも影響した。しかしこの状況は2022年度後半から改善傾向にあったため、2022年に遺伝子のメチル化解析の結果を学術論文として発表することができた。また2023年には同じくメチル化解析の論文を投稿し、掲載待ちの状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始時にはsmall GTPaseを中心とした形態異常(特にアクチン骨格形成異常)に注目していたが、がん細胞の転移・浸潤への関与について更に調べたところ、新しい発見が得られた。2022年度後半から、共同研究者とともに細胞の運動性能や接着性能に関わる細胞外因子との関係について研究を開始した。また、細胞運動を抑制する新たな薬剤を発見したため、現在、その薬剤が引き起こす作用について遺伝子発現レベルでの解析を行っており、2024年度もこの研究を継続していく予定である。
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Report
(5 results)
Research Products
(2 results)