Project/Area Number |
19K09347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55050:Anesthesiology-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
布施谷 仁志 信州大学, 医学部, 特任助教 (00588197)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | QX-572 / 局所麻酔薬 / 分離遮断 / 4級アミン局所麻酔薬 / TRPV1 |
Outline of Research at the Start |
抗がん剤や放射線治療の合併症である口内炎は、発生頻度が高く、難治性で、患者の苦痛は大きい。局所麻酔薬の含嗽は一定の鎮痛効果があるが、触覚や味覚、運動の遮断効果も同時に生じ、快適な食事を妨げる。4級アミン局所麻酔薬は、通常細胞膜を通過できないが、活性化したTRPV1を介して細胞内に流入し、局所麻酔薬作用を発揮する。TRPV1は末梢痛覚神経にのみ発現していることから、TRPV1の活性化による疼痛状態では、4 級アミン局所麻酔薬は痛覚だけを選択的に減弱できる可能性がある。本研究では海外で臨床使用可能な4 級アミン局所麻酔薬をマウスやヒトに局所・全身投与し、分離遮断効果とそのメカニズムを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、健常ボランティア、マウス、抗がん剤や放射線治療中の患者を対象に、海外で臨床使用可能な4 級アミン局所麻酔薬を局所・全身投与し、分離遮断効果とそのメカニズムを明らかにすることを目的とする。研究開始前の予備実験で、健常ボランティアに対するQX-572皮下投与の触覚および痛覚に及ぼす効果を検討した。その結果、QX-572皮下投与単独では、触覚および痛覚閾値を変化させなかった。しかし、QX-572皮下投与に43度の熱刺激やカプサイシン皮下投与を併用すると、触覚閾値は変化させず、痛覚閾値のみ上昇させた。すなわちQX-572が、触覚を低下させず、痛みだけを減弱させる(分離遮断する)ことが示唆された。これをうけて、ヒト健常ボランティアを対象に、まずはQX-572の分離遮断効果を調べるべく準備してきたが、2019から2020年度はコロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、ヒト同士の物理的接触をできるだけ避けることが求められるなど臨床研究の実施自体が困難となり、研究が進まなかった。2021年度になり、あらためて臨床研究に向けて再開したのだが、①QX-572は確かに文献上、海外でヒトに対して使用されていたが、現時点では臨床使用されなくなってしまった、②そのため、ヒトに対して使用可能な精度でQX-572を製造している会社はないことが判明した。特定臨床研究として臨床研究審査委員会に諮ることも考えたが、本学の担当部署と検討した結果、QX-572を用いた臨床研究は実施困難と判断し断念した。 2023年度は、動物実験でQX-572を用いた研究を模索し、現在実験計画を立て準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在、ヒトに対して投与可能な精度のQX-572を製造している会社がないことが判明した。特定臨床研究として進めることも考慮したが、この場合も未承認・適応外の医薬品等に関する臨床研究が該当する。QX-572は現時点では医薬品に該当しないため、特定臨床研究としてすすめることも困難と判断し、臨床研究を断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
QX-572を使用した臨床研究の実施は困難である。そこで、動物実験で本剤を用いたあらたな研究を計画している。まず、カプサイシンなどの刺激でTRPV1を開口させると、QX-314はTRPV1を通過して細胞内に入り、局所麻酔薬効果を発揮するが、その他の4級アミン局所麻酔薬も同様にTRPV1を通過するかは明らかでない。そこで、QX-572でもカプサイシン刺激で局所麻酔薬効果を発揮するかを確認する。次に、ラットで足底切開モデルを作製する。足底切開モデルでは、脊髄後角神経でTRPV1の活性化を引き起こすことが知られている。したがって、足底切開モデルにQX-572を脊髄くも膜下投与させれば、鎮痛効果を発揮するのではないかと仮説を立てた。QX-572は血液脳関門を通過しにくいため、中枢神経毒性を生じにくいことが期待される。TRPV1は痛覚線維にのみ発現することから、下肢の運動麻痺を生じることなく痛覚閾値のみを上昇させることができると予想する。下肢の運動はrotarodで評価し、足底の痛覚閾値はvon frey filamentで評価する。
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