視床下部傷害に着目したくも膜下出血の新たな予後決定病態の解明
Project/Area Number |
19K09459
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56010:Neurosurgery-related
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
長谷川 雄 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (40599114)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | くも膜下出血 / 視床下部 / 急性期 / 脳表血管 / 脳血管周囲マクロファージ / ラット / 初期脳損傷 / 中枢性交感神経活動 / 脳血管 / 血管周囲マクロファージ / 視床下部傷害 / レニンアンギオテンシン系 / 腎除神経術 |
Outline of Research at the Start |
くも膜下出血は、医療が発展した現在においても予後は改善していない。その理由として、二大合併症である早期脳損傷と脳血管攣縮だけでは説明できない病態があると考えられる。近年申請者は、くも膜下出血後急性期の中枢性交感神経活動を新たな予後決定病態と位置づけ、その上位中枢である視床下部傷害が大きな役割を持つことを発見した。本研究では、動物モデルを用いて、くも膜下出血後に修飾を受ける視床下部由来の交感神経活動関連因子Xを特定することを目指す。本研究成果は、くも膜下出血患者の予後と相関するバイオマーカー開発と初めてのくも膜下出血急性期治療薬開発へ展開できる基盤研究となることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年に引き続き、SDラットを用いて尾動脈にカテーテルを挿入、注射針を視交叉前槽へ挿入し動脈血を注入するPrechiasmatic blood injection modelによりSAHモデルを作成、以下の実験を行った。 1)吸入麻酔を使いながら左sensory-motor cortex直上の頭蓋骨に5mmX5-6mmの骨窓を設け、200μLの動脈血注入後の超急性期脳表動静脈の動的・形態的変化について10分間動画を撮影した。これらの結果を針の穿刺のみ行うsham群、動脈血の代わりに生理食塩水を注入するvehicle群と比較した。sham群では大きな変化は無し、vehicle群では注入後5分過ぎてから動脈の拡張を認めた。SAH群では血液注入直後から血管の収縮と拡張を繰り返すinstabilityを認めた。また静脈のうっ滞はvehicle群、SAH群共に超急性期から認めた。さらに24時間後に再度同部位の脳表血管を静止画で撮影し血管径を計測、脳動脈、静脈の有意な狭窄はSAH群において明らかであった。この結果をまとめ、国際誌Neuroreportに投稿し受理された。 2)脳血管周囲マクロファージを減少させるクロドロン酸を投与3日後同SAHモデルを作成、さらにその3日後に神経症状、脳血流、酸化ストレス・炎症関連の変化を免疫組織学的手法とrt-PCRを中心に検討した。その結果、重症SAHモデルにて脳血管周囲マクロファージは減少し有意な神経症状の改善が得られた。その効果は酸化ストレスや炎症反応の軽減では無くSAH後超急性期脳血流低下の抑制と関連することが示唆された。この結果をまとめ、国際誌Neurocritical careに投稿し受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SAH後の視床下部傷害はカテコラミンを放出し有意な脳血管攣縮を来たすこと、腎除神経術を行うとそれらは有意に軽減されることを報告した(Transl Stroke Res, 2020)。この結果から、SAH後超急性期の脳血管をターゲットとして上述の1)2)の研究を計画、超急性期脳動静脈の形態変化や交感神経活性化と関連がある脳血管周囲マクロファージに着目して実験を行った。そして各々有意な結果を得て国際誌に投稿しアクセプトに至った。 中枢性交感神経活動がくも膜下出血の予後に関わる総説と併せ(N. Neurochem, 2022)、本研究課題において一定の成果は得られたと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究成果から、くも膜下出血で認められる視床下部傷害はカテコラミンの活性化に由来する超急性期の脳血管傷害に関与することが示唆された。詳細には1)より動静脈のinstablityに関与し2)からは脳血流低下と関連することが考えられた。 一方、本研究を行うに際し、研究代表者の研究室移動により実験内容の制限が発生したため、他施設の大学院生を指導しながら共同研究の形で本課題を遂行した。今後は実験機器を揃えたり共同研究を続けたりしながら、より直接的な視床下部傷害とSAHの予後との関係について詳細なメカニズムを探求したい。
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Report
(4 results)
Research Products
(20 results)