妊娠・授乳期リン過剰摂取による次世代個体老化促進の検討
Project/Area Number |
19K09831
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
金田 るり 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70465029)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 妊娠・授乳期リン過剰摂取 / 少子化 / 新生児低体重 / 次世代個体老化 / 低出生体重児 / Klotho 遺伝子 / DOHaD説 / リン過剰摂取 / エピゲノム / 臓器障害 |
Outline of Research at the Start |
胎児期・発達早期の望ましくない環境は、エピゲノム変化として体に記憶され、成長後の疾病素因となりうることが提唱されている。近年、妊婦の有職率は増え、忙しい環境でも簡便に食事を摂取することができる加工食品・添加物含有食の摂取が増えており、これらの食品中には多くのリンが含まれる。一方、成人の慢性腎臓病において、血中リン濃度の上昇は、全死亡や心不全、心筋梗塞の発症と相関し、生命予後に影響を及ぼす。本研究では、妊娠・授乳期における母親のリン過剰摂取が、次世代の子の臓器障害のリスクとなり得るのか否か、また、影響を与えるとするならば、いかなるメカニズムに基づくのか明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Developmental Origin of Health and Disease (DOHaD) 説に基づき、妊娠・授乳期のリン過剰摂取が次世代の仔の個体老化促進の一因となり得るのか否か、マウスを用いて検討を行った。 C57BL6メスマウスにリン含有量の異なる餌(コントロール群:0.35%リン含有餌、高リン負荷群:1.5%リン含有餌)を給餌後、オスマウスと交配させた。高リン負荷群ではコントロール負荷群に比べて、産仔数が少ない傾向を示し、新生仔の体重も低体重であった。離乳時まで同餌で飼育継続し、離乳と同時に両群ともに0.35%リン含有餌に戻し飼育した。離乳時の仔の腎組織における、抗老化遺伝子 Klotho の発現レベルは高リン負荷群で低下していた。 両群の産仔が成長後、慢性腎臓病を模した高リン負荷を長期にわたり行うと、妊娠・授乳期に母マウスが高リン食を摂取していた仔(高リン負荷群の仔)において、コントロール群に比べ、心肥大傾向を呈した。 妊娠・授乳期の母親のリン過剰摂取は、少子化傾向、新生児の低体重、生まれながらにして Klotho 遺伝子の発現低下、次世代の個体老化を導く可能性が示唆された。高リン負荷群で当該遺伝子の発現低下をきたしたメカニズムとして、胎盤や母親腎組織におけるリン酸カルシウム結晶の沈着と慢性炎症による DNAのメチル化異常が推測される。 妊娠・授乳期のリン過剰摂取は、本邦における少子高齢化加速因子として重要であり、適切なリン摂取制限が先制医療の標的となりうると考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)