バルプロ酸曝露ラットの脳神経発生異常の解明~発達障碍児の食の困難の解決を目指して
Project/Area Number |
19K10451
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57080:Social dentistry-related
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
鈴木 礼子 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (90333723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 元 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (90291343)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 頭部神経堤細胞 / 上皮間葉転換 / バルプロ酸 / ヒストン脱アセチル化酵素 / ホメオボックス遺伝子 / 脳神経 / 脳神経発生異常 / 軸索伸長阻害 / 脱上皮化 / 軸索伸長 / 摂食・嚥下障碍 |
Outline of Research at the Start |
抗てんかん薬のバルプロ酸(VPA)に母胎内で曝露した場合、胎児の発達障碍や頭顎顔面の先天奇形の誘発リスクがあること、更に、VPA投与による自閉症モデルラットでは、摂食・嚥下にも関わる脳神経である顔面神経の発生異常が生じることが報告されている。頭顎顔面の発生では、頭部神経堤細胞(NCC)の形成・移動・分化が重要な役割を果たしており、頭顎顔面の軟骨細胞や、脳神経の感覚神経等が頭部NCCに由来する。本研究では、これらのことから生じた「発達障碍に随伴する食の困難の一因は、胎児に頭部NCC由来の脳神経の機能的ネットワークの発生異常が生じることではないか?」との問いを、ラットを用いて解明していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
過年度までに、頭部神経堤形成期におけるバルプロ酸(VPA)曝露により、胎仔の頭部神経堤細胞(NCC)由来脳神経の軸索伸長が阻害される可能性を示唆するデータが得られていた。しかしながら、その阻害程度は様々であり、この結果のばらつきが見られた原因として、胎仔の個体差の影響が大きいのか、それともVPAが投与された瞬間における胎仔の厳密な発生ステージの違いの影響が大きいのかが、不明であった。そこで、今年度は、推定受精時刻に個体差が大きかったSDラットから、受精時刻に個体差が殆ど生じないWistar-Imamichi ラットに系統を変えて、目的とする発生ステージの胎仔を確実に得られる時刻を確定した。すなわち、同じ繁殖元から購入したWistar-Imamichi ラットにおける妊娠日齢・時刻とsomite(体節)数の関係を明らかにした。これによって、今までのSDラットの実験系では限界があった、胎仔の厳密な発生ステージ特異的なVPA投与の影響を、同じ発生ステージにある胎仔のサンプル数を揃えて解析することが可能になった。既に、妊娠8日目のWistar-Imamichiラットの母獣 (胎仔の胎齢8.75:頭部神経堤形成期の直前に相当)を用いて、実験群にはVPA、対照群には生理食塩水を単回投与し、頭部NCCの形成と移動の撹乱、及び、頭部NCC由来脳神経の軸索伸長阻害を検証するためのサンプル(胎齢9-12日の胎仔)を採取し冷凍保存している。現在、これらのサンプルの解析を進めている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
(1) COVID-19の蔓延、及び、(2)令和3年および4年の福島県沖地震による設備被害の影響が遷延した上に、さらに、新たに顕在化した被害もあったことにより、予定通り実験を完了できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
頭部神経堤形成期特異的にバルプロ酸(VPA)に曝露したWistar-Imamichi ラット胎仔において、頭部神経堤細胞(NCC)の形成と移動の撹乱、及び、頭部NCC由来脳神経の軸索伸長阻害について検証する。具体的には、以下の計画(1)(2)を実施する予定である。 (1)既に採取済みの胎仔サンプルを用いて、これまでのSDラットを用いた実験と同様に、頭部NCCの形成と移動に関わる遺伝子とタンパク質の局在の撹乱、及び、頭部NCC由来脳神経の軸索伸長阻害状況を、ホールマウントのin situハイブリダイゼーションや免疫染色にて検証する。 (2)in vivo実験系と同様にバルプロ酸(VPA)を投与した母獣から胎仔を摘出し、全胚培養法を用いたDiI標識細胞追跡実験を行い、VPA曝露により特定領域の頭部NCCの移動経路が変わる可能性について、in vitroで検証する。
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Report
(4 results)
Research Products
(2 results)