一般市民の教育参画システム構築から探索する市民に寄り添う医学教育の質的研究
Project/Area Number |
19K10567
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58010:Medical management and medical sociology-related
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
藤倉 輝道 日本医科大学, 医学部, 教授 (00238552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樫村 正美 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (00550550)
稲森 正彦 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (10381477)
池田 直樹 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (30454713)
亀井 尚也 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (50388732)
早坂 明哲 日本医科大学, 医学部, 助教 (50516094)
大久保 由美子 帝京大学, 医学部, 教授 (80287317)
井上 千鹿子 日本医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90453042)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 市民参画 / 医学教育 / ニーズ分析 / 社会的背景 / 質的研究 / PPI / 模擬患者 / 一般市民 / カリキュラム開発 / 社会のニーズ / 模擬依頼者 |
Outline of Research at the Start |
大学が自律的に社会のニーズを把握し、これを医学教育に反映させるために「一般市民の声を収集し活用するシステム」を構築し、システム構築を通じた「市民に寄り添う医学教育」の明確化を目的とする。学生や教員、模擬患者など市民ボランティアを対象としたインタビュー調査をもとに、質的研究手法を用いて「一般市民」の定義付けを行い、これに基づくリクルート方法、研修プログラムを開発する。「一般市民」のカリキュラム関連委員会への陪席参加を試行し、参加者のインタビュー調査を経て再度、定義を確認する。全国医学部を対象にこのシステムの有用性に関する調査行い、一連の質的研究結果もふまえ「市民に寄り添う医学教育」を明確化する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では大学が自律的に社会のニーズを把握し、医学教育に反映させるための「一般市民の声を収集し活用するシステム」構築を目指している。わが国のAMEDにおけるPatient Public Involvement (PPI)の取り組み、英国におけるPPIなど、先行研究を参考にしながら研究者間で「一般市民」の定義付けに関する議論を重ね、まず、本研究趣旨に添うと考えられる一般市民候補者6名に対するインタビュー調査から始めた。しかし、被検者として一般市民を広く募るという本研究はCOVID-19感染拡大で後れを生じた。 そこで、インタビューに代え、ニーズ探索については、Web上にある新聞投稿記事を一般市民の日常の関心事として位置づけ、これをテキストとして用いた質的研究へと方向を修正した。2022年度中の約1000件の記事をから質的研究支援ソフトNvivoを用いて約10,000語のキーワードを抽出し、文中の頻出語を特定し、データベース作成を行った。このデータベースの元となる語句の選択に時間を要したが、国立国語研究所の作成した2003年版分類語彙表を日本語シソーラスとして用い、本研究に即したデータとなる特定語として、“名詞的なもの”の中の「人間活動・精神および行為」に分類されるものを研究対象とした。具体的には、介護や育児が頻出特定語として特定された。これらを含む原文に立ち返り質的研究手法(Steps Coding and Theorization;SCAT法 )で概念化を進めている。 その結果をもとに医学教育の場面で必要となる「一般市民」の定型化を試み、これを用いた医学教育への活用の方向性を提示する。例えば、客観的臨床能力試験に参加する模擬患者の患者背景を設定する際の根拠資料に資することを想定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般市民の本研究へのリクルートと、COVID-19感染拡大が重なりインタビュー調査施行に物理的な困難が生じた。また、想定外のコロナ禍となり、医学教育に関するニーズについても、一般化、普遍化が困難になった。できうる限り、一般市民の医療へのニーズ、教育へのニーズに直接関わらない、日常での関心事を、Web上の新聞投稿コーナーなどから拾い、このテキストを用いた解析(質的研究法も用いる)を行うこととした。この方針転換に時間を要した。約1000件の投稿記事を収集し、頻出キーワードなどをもとに解析対象の層別化を図った。この層別化についても多くの時間を要したが、最終的に語彙分類に基づきデータを整理し、本研究に適した頻出特定語として介護、入院、教育、旅行などが抽出された。まず最も出現回数の多い「介護」に着目し、この語句が出てくる43件の記事をテキストデータとし、質的研究手法(SCAT法)で解析を行った。この結果は「2022年時点の日本国民の日常の関心事」について概念化を図る一つの手法として有効であると考え、論文化等、成果発表の準備を進めている。さらに医学教育上、医学生が認識すべき「一般市民像」の特定については、この研究プロセスそのものを元にその一部を明らかにするに留まるが、活用方法についてはより明確に提示したい。
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Strategy for Future Research Activity |
質的研究に即した支援ソフト、この動作に適したPCの更新、研究補助者の雇用により作業が進み、研究基盤となるデータは整備された。このテキストデータを用いた質的研究は、対象語句を絞ることで作業を早め、論文化を進める。今回、インタビューデータを用いた検討から、新聞記事(Webコンテンツ)を用いた検討に方向転換を図ったが、このプロセスから得られた研究手法そのものも成果物として活用できる様、取りまとめを行う。当初予定した「一般市民の医学教育への活用ガイドライン」のごく一部を提示する形になるが、研究分担者との会合を増やしこれに臨む。
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Report
(5 results)
Research Products
(3 results)