Establishment of the optimal administration method of medicine in patients with dysphagia
Project/Area Number |
19K11283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58080:Gerontological nursing and community health nursing-related
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
富田 隆 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00775950)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | とろみ調整食品 / とろみ調整用食品 / 服薬補助製品 / 嚥下障害患者 / 至適投薬法 / 内用薬 / 薬物動態 / 嚥下困難者 / 至適投与法 / 医薬品 / 医薬品の適正使用 / 嚥下障害 / 高齢者医療 |
Outline of Research at the Start |
申請者は、これまでの研究によって、嚥下困難者や嚥下障害患者に汎用されているとろみ調整食品で医薬品を内服した場合、薬効が減弱してしまう医療上の深刻な問題を発見した。 そのため、本研究では、介護保険施設に入居している嚥下困難者及び病院に入院している嚥下障害患者におけるとろみ調整食品を使用した医薬品の服薬方法の実態を明らかにするとともに、薬物動態に影響しない新たな服薬補助製品を開発し、嚥下困難者や嚥下障害患者に対する医薬品の至適投与法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の背景】研究代表者は、嚥下障害患者に汎用されているとろみ調整食品(以下、とろみ剤)で内用薬を服用した場合、内用薬の薬効が減弱してしまう医療上の深刻な問題を発見した。なお、とろみ剤とは、食物や飲料と均一に混ぜ合わせるだけで、簡便に食物や飲料に適度なとろみを付加することができる粉末の食品である。また、研究代表者が介護保険施設を対象として実施したアンケート調査によって、とろみ剤で内服した錠剤が未崩壊のまま便中に排泄された入居者の存在を明らかにした。この事実は、とろみ剤で内用薬を服用している嚥下障害患者の場合、十分な薬効が発現されていない可能性を示唆するものである。 【本研究の目的】上記の研究背景から、本研究では、とろみ剤を用いた至適内服法を確立するとともに、とろみ剤以外の服薬補助製品の至適使用法の検討を目的とした。 【本研究の成果】研究代表者は、まず、健常成人を対象とした内用薬の経口投与試験を実施し、とろみ剤が内用薬の薬効を減弱させる事実を証明した。また、とろみ剤を用いた至適内服法として、①とろみ剤を必要以上に高濃度に調製しないこと、②錠剤をとろみ剤に浸漬させる時間を1分以内に留めること、③錠剤の崩壊時間に及ぼす影響の少ないとろみ剤を選択すること、以上の3点に配慮した内服法の重要性を明らかにした。加えて、服薬補助ゼリーの有用性を証明し、さらに、内用薬の味をマスクするために汎用されているヨーグルト製品を用いた至適服薬法を確立した。 【本研究の有用性】本研究の結果は、嚥下障害患者のみならず、小児科領域の患児、抗精神病薬の投与によって薬剤性嚥下障害を発症している患者にも応用できる。そのため、本研究の社会的需要、社会貢献度が高いことが考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【とろみ剤を用いた至適内服法の確立】とろみ剤に添加されている増粘多糖類の種類によって、とろみ剤に浸漬させた錠剤の崩壊時間が異なる事実を発見した。増粘多糖類としてグアーガムが添加されたとろみ剤に錠剤を浸漬させた場合、とろみ剤の濃度に関わらず、錠剤の崩壊性が著しく阻害されることを証明した。一方、増粘多糖類であるキサンタンガムが添加されたとろみ剤に錠剤を浸漬させた場合、とろみ剤を低濃度に調製し、さらに、錠剤の浸漬時間を1分間以内に留めれば、錠剤の崩壊性に影響しない事実を証明した。これらの結果から、①服薬には、グアーガムよりもキサンタンガムが添加されたとろみ剤が適していること、②キサンタンガムが添加されたとろみ剤で錠剤を内服する場合、とろみ剤を必要以上に高濃度に調製しないこと、③錠剤の浸漬時間を1分以内に留めること、以上の3点に配慮した内服法を実践する必要性を明らかにした。 【服薬補助ゼリーを用いた至適内服法の確立】服薬補助ゼリーに錠剤を浸漬させた場合、錠剤の崩壊性に影響しない事実を証明した。とろみ剤や市販のとろみ飲料で崩壊時間が遅延した錠剤であっても、服薬補助ゼリーに浸漬させた場合、錠剤の崩壊時間に影響を及ぼさなかった。そのため、服薬補助ゼリーによる服薬は、嚥下障害患者に適した服薬手段の一つであることを明らかにした。 【新たな服薬補助製品の検討】とろみ剤、服薬補助ゼリー以外の服薬補助製品として、ヨーグルトの有用性を検討し、ヨーグルトによる服薬の有効性を証明した。なお、ヨーグルトは、内用薬の味をマスクするために服薬補助食品として汎用されている。とろみ剤で崩壊時間が遅延した錠剤をヨーグルトに浸漬した場合、錠剤の崩壊時間、溶出率に大きな影響は認められなかった。また、ラットを使用した動物実験によって、ヨーグルトによる服薬は薬物動態に影響を及ぼさない事実を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、おおむね順調に進展しており、嚥下障害患者の服薬に貢献できる研究成果が得られている。 本研究では、服薬補助ゼリーで内用薬を服用している患者が、服薬補助ゼリーとオブラートを同時に使用した場合、嚥下時に服薬補助ゼリーから錠剤が乖離してしまう現象を発見した。この症例の場合、服薬補助ゼリーから乖離した錠剤が誤って気道に侵入してしまう危険性があることも明らかにした。そのため、症例報告として論文を投稿し、採択されたが、現時点では、公開には至っていない。この症例報告が公開されれば、本研究の目的は当初の計画以上に進展したと判断することができる。
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Report
(4 results)
Research Products
(29 results)