Project/Area Number |
19K11481
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
木村 華織 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (50634581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
來田 享子 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (40350946)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 女性アスリート / ジェンダー / 昭和戦前期 / 女性指導者 / ライフヒストリー / 良妻賢母 / 歴史 / ロールモデル / スポーツの役割 |
Outline of Research at the Start |
本研究では「スポーツはジェンダー規範を乗り越えるツールになり得たか」という問いを立て、より広範に女性アスリートの人物史の中でスポーツが果たした役割を明らかにする。これにより、戦前の女性に関して形成されてきた生き方イメージ(ロールモデル)と現実の女性アスリートの人生との乖離をも踏まえたスポーツの役割を再検証することができる。この再検証により、女性の活躍が期待される時代の生き方イメージの形成にスポーツが果たすべき/果たし得る役割に寄与する資料を提示することができると考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は令和元年度より研究助成を受けているが、令和2年に発生した新型コロナウイルス感染症の影響を受け、研究計画が大幅に停滞・遅延し、計画の変更を余儀なくされてきた。令和4年度以降は可能な範囲で調査を再開し、令和5年度は補助期間を延長して研究計画を遂行したが、遅れを取り戻したとはいえない。 令和5年度は、課題4「女性アスリートのライフヒストリーの描出」と課題5「女性アスリートのライフヒストリーの検証と女性の生き方イメージとの対比」について、対象者3名(水泳の前畑秀子及び小島一枝、陸上競技の渡邉すみ子)を中心に、関係者への聞き取り調査の内容を加えた上で改めて検討した。 研究成果として、中京大学スポーツミュージアムで渡邉(梅村)すみ子に焦点をあてた企画展示を行った(第8回企画展「梅村すみ子 超然と、まっすぐに百分の一秒への挑戦が繋いだ現在」、2023年7月21日から10月23日)。また、小島については昨年度の調査で発見された史料等に加え、新たなグッズ(審判章、賞状、写真等)が発掘されたため、これらの整理と検討を継続的に進めた。 本研究で対象とした前畑、小島、渡邉のライフヒストリーからは、戦前に活躍した女性アスリートたちが、男性主体だった競技団体の役員や指導者として競技に関わっていく姿を確認することができた。また、渡邉は3名の中で唯一大学陸上競技部の監督という立場で指導にあたっており、そこでは競技力向上とともに女性選手の引退後を見据えた指導(助言)も時折なされていたことが教え子への聞き取り調査からうかがえた。このことは「近代スポーツはジェンダー規範を乗り越えるツールになり得たのか」という本研究の学術的問いに対し、重要な手がかりになると考える。以上、史料探索と聞き取り調査の結果を踏まえて、改めて課題5の検証を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度が研究補助期間の最終年度だったが、新型コロナウイルスによる行動制限が解除された後も遅れを取り戻すだけの研究が進められなかったため、補助期間を1年延長した。大幅な遅延の理由として、コロナ禍による史料調査・聞き取り調査の延期の他、研究代表者の校務多忙や体調不良があった。研究計画を一部変更しながら進め、令和5年度にやや遅れを取り戻すことができたが、未だ遅れを取り戻すことはできていない。そのため、令和6年度も研究補助期間の再延長を申請した。本研究課題では6つの検討課題を設定しており、現在までの進捗は以下の通りである。 課題1「大正後期から昭和戦前期に活躍した女性アスリートの基礎的情報の収集・整理」では、選手たちの所属や試合出場状況に関するデータベースを作成した。課題2「本研究が対象とする時期の良妻賢母像と女性の生き方イメージの検証」については、「女性史、ジェンダー史領域の研究成果の検討」と「当時の女性向け雑誌・教育史の検討」を可能な範囲で行い、課題3「新聞・雑誌にみる女性アスリートの描かれ方の検証」の結果と併せて、ジェンダー視点から考察した。課題4「女性アスリートのライフヒストリーの描出」、課題5「女性アスリートのライフヒストリーの検証と女性の生き方イメージとの対比」は、前畑秀子、渡邉(梅村)すみ子、小島一枝に対象を限定して検討を進めた。特に令和5年度は、渡邉に焦点を当てた展示「梅村すみ子 超然と、まっすぐに百分の一秒への挑戦が繋いだ現在」を研究分担者の所属機関である中京大学スポーツミュージアムにて開催した。小島については、令和5年度の調査で見出された史料に新たに発掘された審判章、写真等を加え、ライフヒストリーの描出・検証を進めている。課題6「女性の生き方イメージと女性アスリートの人生にみるスポーツの役割の再検証」は未だ取り組めていないため、令和6年度の研究課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では「近代スポーツはジェンダー規範を乗り越えるツールになり得たのか」という問題意識のもと、スポーツ史研究およびジェンダー史領域の研究成果を女性アスリートの生き方と当時の女性の理想的な生き方イメージと対比させることによって再検証し、広範に女性アスリートの人物史の中でスポーツが果たした役割を明らかにすることを目指した。 上記課題を検証するプロセスとして、1)戦前の女性アスリートがたどった人生全体をライフヒストリーとして書き出す、2)描き出した女性アスリートの人生経路や生き方と大正後期から昭和戦前期にみる女性の生き方イメージの検証、3)スポーツが女性たちの人生に果たした役割の検証、を設定した。さらに、これらを検証するために6つの課題を設定した。 研究補助期間を1年延長したことにより、やや遅れを取り戻すことはできた。再延長した最終年度は、第一に令和5年度に発掘した史料やインタビュー記録を加えながら、課題5「女性アスリートのライフヒストリーの検証と女性の生き方イメージとの対比」を深化させる。第二に、課題6「女性の生き方イメージと女性アスリートの人生にみるスポーツの役割の再検証」を重点的に進め、女性の生き方イメージの形成過程に近代スポーツが果たした役割について明らかにすることを目指す。また、これらの検討結果を研究成果としてまとめ、学術論文・発表・展示等を通じて広く公表する。
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