3次元音場における新たな聴覚のモデル化とAR・VRのための符号化・強調への応用
Project/Area Number |
19K12021
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61010:Perceptual information processing-related
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
西口 正之 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (90756636)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 貫治 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (20452998)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 空間的マスキング効果 / マスキング閾値 / マスカ― / マスキー / マスキングスレッショルド / マスキング効果 / 3D音場 / 符号化 |
Outline of Research at the Start |
音響再生環境の多チャンネル化, あるいはAR(拡張現実)やVR(仮想現実)に於けるバイノーラル再生の普及とともに3D音場の収音・伝送・再生・強調技術の重要性が増している。 しかし同時刻に複数の音源が空間的に配置された際の音源相互のマスキング効果や聞こえについては, その作用・効果が殆ど明らかにされておらず応用に至っていない。そこで本研究では, 受聴者を取り囲む3次元空間中に配置された複数の音源相互が, どのように影響しながら受聴者に聞こえているのか, 3D音響空間におけるマスキング効果がどのように働くのか, その作用・構造を明らかにし, 3D音場の収音・符号化・伝送・再生に資することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
3次元空間上に配置された音源相互のマスキング効果を確認するために、直径1.5mの円周上に45°間隔で配置されたスピーカーから、マスカ―、マスキー音を出して、それらの間のマスキング効果を確認した。その結果、一般にマスキーの方位がマスカ―から遠ざかるほどマスキング閾値が低下することが確認された。一方、マスカ―に対して前頭面に関して対称の位置にあるマスキーに対してはマスキング閾値が、その周辺のそれよりも上昇することが確認された。例えば、受聴者の真正面の音源によって、真後ろの音がその周辺の音よりも強くマスクされるという現象である。 この現象について、マスカ―を2個のスピーカーによるファントム音像で生成した場合にも、同様の現象が起きることを確認した。例えば、前方左右に置いたスピーカーによって受聴者の真正面に生成した音像によって、受聴者の真後ろの音がマスクされるという現象である。他の位置に生成したファントム音像についても、マスカ―音像の前頭面に関する対称の位置にあるマスキーが強くマスクされることを確認した。 さらに、マスカ―をスピーカー再生とし、マスキーの再生に耳穴開放型(外音取り込み型)のヘッドフォンを用いて、HRTF(頭部伝達関数)によって受聴者を中心とする半径1.5mの周上に仮想音源によるマスキーを置いた場合も、冒頭に示した、マスキング閾値の前頭面に関する対称性があることを確認した。ただしこの場合は、マスカ―マスキーともにスピーカー再生の場合に比べて、全般的に閾値が下がる傾向があることを確認した。これは、HRTFによって生成するマスキーの仮想音源位置が、意図した位置から多少ずれることが主な原因であると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間的なマスキング効果に関する最も基本となるデータを取得することが出来た。また、空間的マスキング効果に、前頭面に関する対称性があることを見出したのは大きな成果である。また、マスカ―の音像位置による空間的マスキング効果の変化を、ファントム音像によって確認した。音像位置とマスキング閾値の関係にも上記の前頭面に関する対称性があることを確認できた。更に、頭部伝達関数(HRTF)を用いてヘッドフォン再生で生成した仮想音源マスキーを用いた場合にも、実音源同士の時と同様に、前頭面に関する対称性があることを確認できた。これらの結果はいずれも、空間的マスキング効果を符号化に用いる際には、再生側のスピーカーから出力される信号ではなく、音源オブジェクトの位置関係を考慮して符号化を行う必要があることを示唆している。
|
Strategy for Future Research Activity |
音源の方位によって空間的マスキング効果がどのように働くのかについては、仮想音源の場合を含め、概ねデータがとれたが、受聴者から音源までの奥行方向の距離によってどのような影響を受けるのかについては未検討であるため、今後実験を進めて行く予定である。 また、継時マスキングの効果が、空間的に異なる位置に配置されたマスカ―、マスキー間でどのように働くのか、その時定数はどの程度なのかを調べる。更に、音源位置の動的な変化に対して空間的マスキング効果がどのように変化するのか、マスカ―とマスキーの相対的位置関係の変化に対して、マスキング効果がどの程度のスピードで追従して行くのかを調査する。これらの知見は、空間的マスキング効果を多チャンネルオーディオの符号化伝送に応用する際に、符号化器のダイナミックビットアロケーションに要求される追従速度にかかわってくるものである。
|
Report
(2 results)
Research Products
(5 results)