Project/Area Number |
19K12513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
牛田 千鶴 南山大学, 外国語学部, 教授 (40319413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | パラグアイ / バイリンガル教育 / グァラニー語 / 国民アイデンティティ / 初等教育 / 複文化国家 |
Outline of Research at the Start |
ラテンアメリカは典型的な複言語社会であるが、異なるふたつの言語を公用語に定め、国民全体がその両方を自在に使えることを目標とした教育改革に取り組んでいるのは、パラグアイのみである。同国は、先住民児童に対するスペイン語単一教育への移行のための過渡的措置としてではなく、初等教育課程の全児童を対象としてスペイン語とグァラニー語の授業を行う「バイリンガル教育計画」(計画達成目標年=2020年)を推進してきた。本研究では、国全体のバイリンガル化を目指す点で極めて特異なパラグアイの取組について、国民アイデンティティの基盤としての言語文化の共有がどれほど実現できているのかに焦点を当て、分析と評価を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
パラグアイは、一部の住民(先住民や移民等)のみを対象とするマイノリティ言語の保護と継承支援といった観点からではなく、植民地化を通じて移植されたスペイン語と土着のグアラニー語を公用語に定め(1992年憲法)、スペイン語母語話者を含む国民全体のバイリンガル化を掲げて改革を推進してきた。本研究課題においては、そうした同国の特異性に着目し、教育改革の一環としてのバイリンガル教育プログラムに焦点を当てて研究を遂行した。またその過程で、先住民諸語の中でのグアラニー語の威信言語化という新たな課題を見出すに至った。 2023年6月4日には、「パラグアイにおける二言語教育の展開と複文化国家としての課題」(パネルE 「言語文化と国家・民族アイデンティティ」)と題し、日本ラテンアメリカ学会第44回定期大会(会場:明治大学)で研究成果報告を行なった。同年8月5日には“CELAO(Consejo de Estudios Latinoamericanos de Asia y Oceania/アジア大洋州ラテンアメリカ研究協議会)第9回国際大会(会場:上海大学, 中華人民共和国)にて、“La politica linguistica y la educacion bilingue en Paraguay”と題し発表した。 また、8月20日から9月2日までパラグアイに出張し、先住民教育総局、言語政策庁、ラテンアメリカ社会科学研究所(FLACSO)、国立アスンシオン大学、パラグアイ・カトリック大学、Fe y Alegria (イエズス会系NPO)等のほか、首都アスンシオン市郊外およびカアグアス県サンホアキン市に位置する3つの先住民共同体の小学校を訪問し、実り多い現地調査を実施できた。 (注記:スペイン語特有の記号は本入力画面では正しく表示されないため省略した。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で実施が中断されてしまった現地調査も、過去2年間の延長を認めていただけたおかげで、計画通りに進めることができている。予算も使い切り、今年度については研究成果のとりまとめとその社会的還元が最終課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年5月下旬に開催予定の日本ラテンアメリカ学会第45回定期大会(於:慶應義塾大学)にて、「民族アイデンティティ形成の比較研究―少数言語教育と文化継承の視点から-」と題するパネルの一員として、「多民族社会パラグアイにおける複言語教育の実践と課題」というタイトルで報告する予定である。 2024年度後半には、これまでの現地調査で確認された児童の学習到達度、保護者の参画や地域の支援状況等を踏まえて論文にまとめ、パラグアイ国内の学術誌に投稿することで、同国当事者への研究成果の還元に努めたい。
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