(不)可視の隣国:現代北朝鮮の表象文化・ジェンダー・文化政治学をめぐる基礎研究
Project/Area Number |
19K12517
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
李 恵慶 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20648737)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 北朝鮮映画 / ジェンダー表象 / 国家身体 / 交差する「夢」 / 合作映画 / 国家アイデンティティ / プロパガンダ / 怪獣 / 神話的な身体 / ナショナルな想像力 / 北朝鮮文学芸術論 / プルガサリ / 北朝鮮 / 金正日 / 苦難の行軍 / 先軍政治 / ジェンダー政治 / 女性表象 / メタファーとしての「家」 / ジェンダー / 歴史認識 / 日本表象 / (国)母のイメージ / ナショナリティ― / ポストコロニアル / 表象文化 / ナショナルアイデンティティ / アジア認識 / 自己/他者表象 / 文化政治学 / 国民統合 |
Outline of Research at the Start |
北朝鮮の文化空間において〈他者〉やジェンダーがどのように描かれ、理想的な国としての自己像の創出・強化に結び付けられてきたのか。そしてそれが国民統合装置としていかなる役割を担ってきたのか。また、テクストに書込まれたずれや余白、さらに映画共同制作など近年の文化空間における様々な変化が文化生産物のプロパガンダ機能をいかに揺るがし変容させているのか。本研究では北朝鮮の現代文化をめぐる諸相を、1980年代以降の文化生産物から立体的に検討し、新たな表象文化論に向けた理論的枠組みの構築を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、北朝鮮がこれまで〈他者〉をどう捉え、描き、新しい社会主義国としての自己像の創出・強化に結び付けてきたのか。そして理想的な自己表象・ジェンダーが国民統合装置としていかなる役割を担ってきたのか。また芸術・文化のプロパガンダ機能がテクストに自ずと書込まれたずれや余白によっていかに揺るがされ変容を迫られているのかを明らかにすることである。それに向け、今年度は特に新たな分析資料を集めつつ、これまでのテクスト分析をさらに深め、その結果の一部を論文としてまとめるようにした。 まず、今年度は長期の韓国出張を2回行うことができた。韓国統一部の北朝鮮資料センターを中心に韓国国会図書館、国立中央図書館等にて日本では入手困難な北朝鮮関連資料と文献、及び先行研究を収集することができた。また関連する学術大会やシンポジウム等に参加し、他分野の研究者と研究打ち合わせ及び意見交換をし、最新の研究動向を把握するようにした。それにより、新型コロナウィルス拡散により資料収集ができなかった状況から研究環境を整うことができた。 また、昨年度までの分析結果の一部を論文としてまとめるとともに、新たな分析結果を学会の研究発表大会にて発表した。なかでも今年度は北朝鮮の海外合作映画に焦点を当ててテクスト分析を行い、その意義を探るとともに表象研究に基づく具体的な作品論を展開した。まだ分析の途中ではあるが、近いうちに論文等として発表予定であり、北朝鮮の文学や映画等に関する具体的な研究がきわめて乏しい日本の現状を考えるとその意義が大きいといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅れを取っている要因としては何よりも資料収集に困難が生じていることが挙げられる。分析テクストとなる1次資料はいうまでもなく、関連資料と先行研究等が日本では入手困難であることが多い。そのため、本研究においては長期の韓国出張が不可欠なのだが、新型コロナウィルス拡散に伴い、しばらく渡航できなかったが最も大きな要因である。それに加え、韓国の著作権保護による複写制限や出張可能な時期・期間における色んな制約も、資料収集が円滑に行われないもう一つの要因といえる。そうしたことから現在の進歩状況を当初の計画よりかなり遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果に基づきながら、さらに分析を深め、その結果を積極的にまとめていく予定である。特に来年度は研究最終年度になることから、研究を統括し、新たな研究課題へ繋げるようにする。そのため、まず現在同時進行で行われている複数のテキスト分析を論文にする。そしてこれまでの研究と関連付けを行い、本研究の当初の目的である近年の北朝鮮の文化空間を取り巻く社会文化的な変化と1980年代以降の表象文化・ジェンダー・文化の政治学をめぐる基礎研究としてまとめる。
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Report
(5 results)
Research Products
(8 results)