Project/Area Number |
19K12520
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
北野 浩一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 主任調査研究員 (00450479)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | チリ / 一次産品産業 / 産業組織 / 垂直統合 / 輸出農産品 / 農業経営 / 震災復興 / 林業 / 紙パルプ業 / 輸出志向工業化政策 / 農業 / 経済発展 / ラテンアメリカ / 一次産品 |
Outline of Research at the Start |
一次産品の供給拠点として世界的にも注目されるチリは、その生産を担っている生産主体が所有型の垂直統合化された大企業であるという特徴を有する。垂直統合化された大企業は、サプライ・チェーンの管理という意味で優位なだけでなく、先進国など需要国側でトレーサビリティの重要性が高まったことで、国際競争力の源の一つともなっている。 本研究では地域毎の多様性を有するチリにおける、一次産品企業の生産要素に対する所有権の設定といった制度の側面にの側面に着目することで、地域毎の企業構造の差異を分析する。制定法だけでなく少数民族居住地の慣習法なども調査し、生産要素に対する所有権の設定と企業の垂直統合との関連を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、チリの垂直統合型の一次産品産業の発展を探るため、現地生産地域での実証的なデータ収集が必要である。今年度は、渡航制限が終了したため、3月に首都のサンティアゴ、および農業、林産業の拠点である中南部のコンセプシオンを訪問した。 輸出型農業については、主な輸出市場である先進国生鮮食品市場、および競合する南半球の生産国の生産動向に強い影響を受ける。かつて、主力輸出品であったテーブル・グレープの産地は縮小し、これに替わってチェリーやナッツ類の生産が急速に伸びている。隣国ペルーの輸出競争力向上によりチリ産市場が縮小傾向にある一方で、チェリーは中国向け輸出の拡大が顕著であり、作付面積も拡がっている。ナッツの生産はイタリア系企業を中心に開始され、比較的大規模生産者が多く効率的な管理がなされている。ドローンの導入などアグリテックについては、チリは農家と農業資材企業をつなぐ問屋制度が古くて融資中心のため、新しい技術の導入にあまり熱心でない傾向があることがわかった。 林業については、コンセプシオンはラジアタ松植林拡大の中心地ともいえる。もともとペルーなどへの農産品輸出のための木造帆船建造の拠点であり、その原材料として植林がすすめられている。その後20世紀に入り木造船から鋼鉄製の蒸気船が主流になるに従い造船業が廃れ、これに替わる木材を利用する産業として、国の資金とフランス企業からの技術導入でパルプ生産工場が建設された。1960年代のチリの輸入代替工業化の事例として興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、農牧業センサスなどデータを利用して、チリ農業に関する農地や産品のデータベースを作成してきた。センサスについては、チリ側の国内状況の混乱もあり作成が遅れていたが、2022年度にマイクロ・データ(個票)の利用が可能になった。それ以前の2センサスについては既にデータベース化ができているので、これらと併せ時系列的な分析が可能になる。 2023年に実施した現地調査では、これら量的データを補強する情報が得られた。データ上の生産動向の変化を、現地でのヒアリングにより現場生産者の経営戦略の変化として跡付けることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、本研究課題の最終年度にあたる。農業センサスなどから得られた農地や生産情報と、生産者の経営戦略変化を中心に、データをまとめて最終論稿を作成する予定である。
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