現代インドの「不可触民」にみる聖人信仰と社会運動の展開
Project/Area Number |
19K12543
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
舟橋 健太 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (90510488)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 「不可触民」 / インド / 聖人 / 社会運動 |
Outline of Research at the Start |
本研究プロジェクトでは、現代インドの「不可触民」にみられる聖人信仰と社会運動に関して、北インドの事例を基に調査研究を進める。不可触民たちが社会運動に導かれる主たる誘因として、またかれらの凝集の軸として「聖人信仰」を捉え、調査研究を推進していく。すなわち、聖人信仰の実践の様相に焦点を当てた現地調査から、被差別民における「アイデンティティの複数性と共有」から拡がる他者関係の展開可能性を、いかに捉え考えることができるか、分析・考察を行っていく。またそこから、コミュニティの分断と排除を超える、平等主義に根ざしたオルターナティブな社会の可能性の探究を試みる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトでは、「不可触民」たちが社会運動に導かれる主たる誘因として、またかれらの凝集の軸として、「聖人信仰」を捉え、調査研究を推進していくものである。特に、中世の北インドに生きた詩聖人であるラヴィダースに焦点を当てて、研究を展開しているものである。 本年度(2023年度)については、新型コロナウイルスの感染状況に所以する海外渡航の制限が大幅に緩和されたことから、夏期(8月)と春期(2月)の二度にわたる渡印・現地調査の実施が可能となった(いずれも10日前後の調査行となった)。 夏期は、パンジャーブ州チャンディーガルにおいて、市郊外のジャランダル(Jalandhar)にあるDera Sach Khand Ballanという宗教組織のラヴィダース寺院を訪れ、組織の中心的な人物へのインタビュー、ならびに寺院見学を行い、また関連文献の提供を受けた。春期は、ウッタル・プラデーシュ州ワーラーナシーにおいて、ラヴィダース生誕祭前後日に、市内のラヴィダース・パークやラヴィダース寺院、ラヴィダース生誕地への訪問と祝祭の様相の観察・調査、関係者への聴き取り調査を行った。特に生誕祭前日となる2月23日には、インドの現首相のナレーンドラ・モーディーと、ウッタル・プラデーシュ州現首相のヨーギー・アーディティヤナートが、新設されたラヴィダース大像の竣工式に参列するなど、政治的観点からも重要な調査の機会となった。 また10月には、オンライン併用でデリー(ジャワーハルラール・ネルー大学)で開催された、ラヴィダースに関する国際セミナー(International Seminar on the“Life, Time and Philosophy of Satguru Ravidass Ji”)への招聘を受けてオンラインで参加して研究報告を行い、参加者との見識の交換を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の各種制約が緩和され、特に現地調査が概ね従来通り(コロナ禍以前同様に)実施可能となったことから、2023年度は二度の現地調査を行うことができ、それぞれにおいて多くの重要な知見を得る充実した調査となったことから、「おおむね順調に進展している」と判断した次第である。調査に基づく具体的な研究成果については、今後のさらなる進展を期するところではあるが、聖人ラヴィダースをテーマとした国際セミナーでの研究報告ならびに見識の交換といった成果も踏まえて、上記の判断とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度の現地調査で得た知見より、ひとつに「政治化する聖人」との観点のもと、中世や近代に生きた聖人が、現代的状況においてさまざまなかたちで再興している、換言すれば「生き/活き返っている」様相について、さらなる現地調査の実施と、それに基づく分析・考察を進めていく予定である。そこにおいては、信奉者たちのアイデンティティとの関連を視野に、聖人信仰を軸としたアイデンティティの主張が、状況により、他者との関係性の「接続」を導く、あるいは「断絶」に至るといった様相について、ウッタル・プラデーシュ州とパンジャーブ州の状況を比較検討しつつ考察を深めていく予定である。
|
Report
(5 results)
Research Products
(17 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] ようこそ南アジア世界へ2020
Author(s)
舟橋 健太、石坂 晋哉、宇根 義己(編)
Total Pages
304
Publisher
昭和堂
ISBN
9784812219188
Related Report
-