視覚野機能構築が生成する神経細胞活動の動的特性と文脈効果
Project/Area Number |
19K12743
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90030:Cognitive science-related
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Research Institution | National Institute of Technology(KOSEN),Numazu College |
Principal Investigator |
宮下 真信 沼津工業高等専門学校, 制御情報工学科, 教授 (20443038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 繁 電気通信大学, 脳・医工学研究センター, 特任教授 (70281706)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 視覚野 / 自己組織化 / 方位マップ / 抑制性介在細胞 / 単純型細胞 / スパイン / シナプス数 / 臨界期 / 文脈依存応答 / 自己組織化数理モデル / スパイク放電型神経モデル / 有棘型星状細胞 / 無棘型星状細胞 / 長距離水平結合 / 文脈異存応答 / 棘型星状細胞 / 第一次視覚野 / 神経ダイナミクス / 刺激長チューニング / コントラスト / 方位表現 / 一次視覚野 / 複雑型細胞 / ゲシュタルト心理学 |
Outline of Research at the Start |
視覚認知に関連する文脈依存効果がどのような神経メカニズムによって誘導されるのか、という問題は、神経生理学やゲシュタルト心理学で議論されてきた。これまでに、文脈依存の応答が一次視覚野2/3層に存在する長距離水平結合が関連しているという学説が提唱されてきた。しかしながら、げっ歯類動物では方位選択性を示す細胞が少なく、slat & pepperと呼ばれる不規則な構造をしており、2/3層での長距離水平結合はサルやネコとは異なっていると考えられる。本研究では、自己組織化数理モデルで再現された方位構造に神経ダイナミクスの数理モデルを適用し、方位表現の違いが文脈依存の応答に与える影響について研究を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
LGN-V1野入力層間には、フィードフォワードな興奮性結合と抑制性細胞を介した結合がある。この抑制性介在細胞は、成体では方位選択性に乏しいが、視覚刺激に依存して興奮性細胞の膜電位の調整をしていることが示唆されている。サイン波上のグレーティング刺激を提示したとき、発火頻度モデルで記述された視覚野細胞の膜電位は、最適な方位に近いほど振幅が大きく、それと直交する方位については振幅が小さくなることから、従来は膜電位の平均値を閾値として神経細胞の出力としていた。初めに、静止電位に相当する膜電位をこの平均値のレベルと仮定し、抑制性の介在細胞の調整作用によって、膜電位が静止電位レベルに保たれるとの仮説を立て、LGN-視覚野間の結合の自己組織化数理モデルを抑制性介在細胞の膜電位調整機構を取り入れたモデルへと発展させた。従来モデルでは、シナプス後細胞のスパインに対して、シナプス前細胞の軸索終末がスパインを奪い合う競合を仮定していた。しかしながら近年、発達期ではシナプス後細胞のスパイン数が増減することで、神経可塑性が生じている実験が報告されていることから、シナプス後細胞の樹状突起でのスパインの生成消滅をモデル化し、神経ネットワークの自己組織化数理モデルをさらに精緻化した。この数理モデルを使ってシミュレーションを実行した結果、発達の初期過程ではシナプス数が増加し単純型細胞の受容野がある程度形成されるが、その後シナプス数が減少する過程で方位マップが形成されることが示唆された。この発達過程でのシナプス数の増加/減少は、臨界期の初期にシナプス数が増加し後期にシナプス数が減少して成体の数に近づくことや、皮質細胞の受容野特性の形成にそぐわないLGNからの入力線維が減少するというselection仮説とも一致している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、従来のシナプス前細胞の軸索終末がスパインで競合を起こすことを仮定した数理モデルで再現された方位マップによって、視覚野細胞の応答を再現する予定であった。しかしながら、抑制性介在細胞による応答の修飾やスパイン間の相互作用を導入したLGN-視覚野入力細胞間の神経結合の自己組織化数理モデルを再構築する必要が生じたため、当初計画よりも遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した自己組織化数理モデルに基づいて、LGN-視覚野間の神経ネットワークのシミュレーションを実行する。ここでは、主にネコの視覚野に相当する、興奮性の皮質内相互のみとする。モデルLGNから興奮性の視覚野細胞には、自己組織化シミュレーションで得られた結合を適用し、抑制性の介在細胞へはラフなレチノトピーを仮定するが、モデルLGNからの結合はランダムとし、方位選択性が低い細胞を仮定する。興奮性の単純型細胞に対して最適方位と直交する方位の視覚刺激を与えたときには、膜電位が静止電位程度になるように抑制性の介在細胞からの活動が入力されるように、抑制性‐興奮性細胞間の結合のコンダクタンスを決め、古典的受容野のみの刺激と周辺部への刺激をさらに与えた場合での応答の違いを調べる。また、古典的受容野へ最適方位の刺激を与えたときの周辺部への刺激の方位との興奮性細胞の応答修飾の関係性を掴んでいく。
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Report
(4 results)
Research Products
(7 results)