Project/Area Number |
19K12966
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | The University of Tokyo (2020-2022) Shiga University (2019) |
Principal Investigator |
藤岡 俊博 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90704867)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | レヴィナス / モース / 利益 / 贈与 / 没利益 / アウグスティヌス |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、レヴィナスが提示した「没利益」とモースを端緒とする「贈与」が西洋思想史において有する意義を明らかにし、この両概念を軸とする思想潮流を記述することである。前者に関してはレヴィナスの「没利益」を「利益」の思想史をも含む一般的な哲学史のなかに位置づけ、後者については「贈与論」の成立につながった『社会学年報』グループの経済思想を明らかにすることで、本研究は、哲学をはじめとした人文・社会科学のなかで「没利益」の思想史としてまとめられると仮定できる思想潮流を、内在的かつ歴史的に記述することをめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、西洋思想史における「没利益・無私無欲性」の概念と主題の展開を、おもにエマニュエル・レヴィナスの哲学およびマルセル・モースの民族学を中心に検討することである。本年度は特に以下の項目についての研究を遂行し、その成果を分担執筆や口頭発表の形で公表した。(1)レヴィナスにおける「没利益」の概念と「利益」をめぐる思想史に関する研究。一般に着目されることの少ないレヴィナスの思想と経済思想との関係について、特にマルクスとレヴィナスの思想との接合可能性を検討する口頭発表をおこなった。とりわけ、マルクスが『経済学・哲学草稿』で分析している「疎外」の概念について、「事物の疎外」「自己の疎外」「類的疎外」「他者に対する疎外」という四つの側面が、レヴィナスの「享受」や「繁殖性」といった主題においても見られることを、おもに『実存から実存者へ』や『全体性と無限』の読解を通じて明らかにした。また、広く社会学や民族学も含めた社会科学に対するレヴィナスの思想的立場を解説した概説も公表している。(2)民族学における「贈与」概念にまつわる研究。「贈与」や「反対贈与」といったモースの諸概念も利用しながらパリのメトロ空間を民族学的に解読したマルク・オジェ『メトロの民族学者』の翻訳および解説や、「贈与」にまつわる関連研究の合評会の場での口頭発表を通じて、「贈与」概念が有する思想史的意義や現代的役割についての考察をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を分担執筆や国際会議での発表等によって公表できており、おおむね順調に進展していると考えている。ただし、新型コロナウィルス感染症の影響にともない、学会等への参加が当初の計画よりも少なかったため、補助事業期間の延長を申請し、2023年度も引き続き本研究課題に従事する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は補助事業期間を延長しての最終年度にあたるため、研究課題全体を総括する研究成果の公表に努めたい。
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Report
(4 results)
Research Products
(10 results)