テクノロジー的全体主義の分析:アーレントとヨナスの思想比較を通じて
Project/Area Number |
19K12974
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
|
Research Institution | Kansai University (2021-2023) Ritsumeikan University (2019-2020) |
Principal Investigator |
百木 漠 関西大学, 法学部, 准教授 (10793581)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | ハンナ・アーレント / ハンナ・ヨナス / テクノロジー / デジタル全体主義 / ポスト真実 / 新自由主義 / 全体主義 / アーレント / ヨナス / フーコー / マルクス / 出生 / 生政治 / ポスト・トゥルース |
Outline of Research at the Start |
アーレントの全体主義論とヨナスのテクノロジー論を結びつけることによって、新たに「テクノロジー的全体主義」という概念を提唱し、21世紀における全体主義の構造を分析することが本研究の目的である。アーレントとヨナスはともに若き日にナチスのユダヤ人迫害を逃れて亡命し、戦後アメリカにおいて独自の思想・哲学を展開した。両者の生涯と思想を比較検討することによって、全体主義とテクノロジーという20世紀の主要問題に二人がどのような思想的回答を示したかを明らかにするとともに、21世紀におけるテクノロジー的全体主義の構造を提示する。気鋭のヨナス研究者である戸谷洋志との共同研究を行い、共著の執筆・出版を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
「ポスト真実の政治」をめぐる研究成果を、韓国の慶熙大学校で開催されたThe 2023 ICCTP Conference(2023年6月9-11日)にて英語報告した。報告内容は、単著『嘘と政治:ハンナ・アーレントの思想とポスト真実』(2021年)の内容をまとめ発展させたもので、昨今の「ポスト真実の政治」をめぐる問題をアーレントの「政治における嘘」論を参照して分析したうえで、ホックシールドの『壁の向こうの住人たち』(2016年)を手がかりに、この苦境を乗り越える方途を考察した。参加者から積極的な質疑を受け、大いに参考になった。そのフィードバックを反映させた英語論文も2024年度中の完成に向けて執筆中である。 また『立命館産業社会論集』第59号(2023年6月発刊)に寄稿した「アーレントの活動論再考」では、アーレントの活動論に関する近年の研究動向をまとめつつ、アーレントが現代の科学者の試みを「自然の中への活動」と表現したことの意味を考察した。アーレントの「活動」には「他者との関わり」と「始まりをもたらすこと」という二つの軸があるが、現代の科学にみられるのは「他者との関わり」を欠いた「予測不能な始まりをもたらす」行為と解釈することが妥当であろうというのが本論考の結論である。 また『KANSAI UNIVERSITY REVIEW of LAW and POLITICS』第45号(2024年3月発刊)に寄稿した"Hannah Arendt’s Thoughts on Labor and Totalitarianism"では、『批判版全集』におけるアーレントのマルクス批判を手がかりに、アーレント自身は十分に展開しなかった「労働と全体主義」の親和性について考察すると同時に、その親和性が現代のポピュリズムの排外主義にも通ずる問題ではないかという見解を示した。
|
Report
(5 results)
Research Products
(28 results)