Project/Area Number |
19K12978
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
|
Research Institution | Musashi University (2023) The University of Tokyo (2020-2022) Tokyo National University of Fine Arts and Music (2019) |
Principal Investigator |
松原 薫 武蔵大学, 人文学部, 専任講師 (50835105)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 絶対音楽 / 標題音楽 / 形式主義 / シュピッタ / シュヴァイツァー / ハンスリック / シューマン / 平均律クラヴィーア曲集 / バッハ / ロホリッツ / フォルケル / ツェルター / シェーリング / ポリフォニー / ヴァーグナー / 音画 / 総合音楽新聞 / ディレッタント / ヘンデル / ザラ・イツィヒ(レヴィ) / 女性 / ジェンダー / ズルツァー / 愛好家 / 専門家 / 演奏会 / ゲッティンゲン / ドイツ / 18世紀 / 専門家(Kenner) / 愛好家(Liebhaber) / 音楽 |
Outline of Research at the Start |
本研究では18世紀後半にJ. S. バッハの《平均律クラヴィーア曲集》や《フーガの技法》といった対位法的楽曲に関心を寄せた愛好家の姿に着目する。そして彼らが難解な対位法を理解するだけの専門的知識をどのようにして身につけたのか、芸術を生業としないにもかかわらず彼らをそのような学識へと駆り立てた時代背景はどのようなものであったのかを、①18世紀音楽界の「専門家/愛好家」論、②音楽聴取論、演奏会文化論、③18世紀芸術全般におけるディレッタント論の3つの学術的背景から検討する。概念レベル、実例レベルの両方からの考察を通じて、従来の研究における「専門家/愛好家」の境界の固定的なあり方に再考を促す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題5年目にあたる2023年度の研究実績は、大きく以下の3点にまとめられる。 ①ロホリッツとフォルケルの1800年前後の著述に着目し、バッハの鍵盤楽曲、とりわけ《平均律クラヴィーア曲集》の啓蒙について論じた。 ②シュヴァイツァーの音画論についてはすでに2022年度に論文を発表したが、ロマン主義の絶対音楽の美学に立ち返って再論した。そして、シュヴァイツァーがヴァーグナーの継起性、バッハの瞬間性に着目することによって、ロマン主義美学における絶対音楽(音楽)と標題音楽(彫塑)の図式を反転させ、バッハを標題音楽の作曲家と捉えていることを明らかにした。またシュヴァイツァーの主張の背景にある、19世紀末から20世紀初頭にかけての絶対音楽と標題音楽をめぐる議論について、ある程度の見通しを得た。 ③シュピッタのバッハ伝は、その文献学的手法に基づく学問的功績の一方で、シューマンの影響を受けた主観的な作品叙述が特徴であり、両者の齟齬は出版当時から指摘されてきた。上で述べた②の研究成果に基づき、バッハの作品叙述をめぐるシュピッタ、ハンスリック、シュヴァイツァーの相互参照を検討し、絶対音楽、標題音楽、形式主義と彼らの主張の布置を明らかにした。なおシュピッタのこうした作品叙述は、専門家よりもむしろ愛好家の読者を念頭に置いて書かれている。1800年前後のバッハの作品叙述とどのような共通点、相違点があるのかは今後、検討する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた調査でまだ実施できていないものがいくつかある。その反面、2023年度は本研究を前進させるいくつかの知見にも到達することができたため、概ね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに収集した18世紀、19世紀の文献や雑誌記事の読解を進める。これまでは18世紀後半と19世紀後半の考察を主に行ってきたが、その間を埋めるべく19世紀前半についての検討を深めることにより、18世紀における専門家と愛好家の関係がいかなるものであったのか、これがその後の音楽史においてどのように捉えられていったのかを俯瞰することができるはずである。
|