音楽を語る技術:パラテクストの要素から17世紀イングランドの音楽理論書を読み解く
Project/Area Number |
19K12981
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
三城 桜子 東京藝術大学, 音楽学部, 専門研究員 (80738120)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 音楽理論書 / イングランド / 初期近代 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,17世紀初頭のイングランドの音楽理論書を対象とし,当時の創作原理の視角から,特にその「パラテクスト要素」に注目して,比較研究を行なう。そして,音楽理論書というひとつの書物のなかで, どのように著者たちが情報管理を行ない,音楽について効果的に語るための技術を駆使したのか解明することを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、主に以下の三点を行なった。(1)これまでに先行研究および音楽理論書から収集・抽出したパラテクスト情報とコンテクスト情報のデータベース化を進めた。(2)当時、書籍のフォーマットがどのように捉えられているのかを確認する一つの手段として、16世紀末から17世紀末までに英国で出版された書籍のカタログ(7点)を調査した。カタログには出版社、出版年月日などの情報とともに、フォーマットが記されていた。全てのカタログにおいて、folio がフォーマットを分類項目として明記され、カタログの冒頭に置かれていた。また、多くのカタログにおいてquartoとoctavoが明示的に区別されていた。なかには、実際のフォーマットとは異なる記録もみられることから、これらのカタログの情報の正確性については注意を要するが、フォーマットが記録されるべき要素として重視されていることは注目すべき点といえる。(3)『音楽への小道』のヴァージョンの異同について調査を進めた。その結果、米国ハンティングトン図書館(The Huntington Library)所蔵 の1637年版は、実質的な内容が1596年の初版と同一であることが判明した。具体的には、1637年版は、表紙のみが、改訂年とともに新たな組版で印刷され、初版時に印刷されたものに付されたと推測された。このことは、1596年に印刷された版には、相当数の残部があり、1637年に新しい表紙を付すことによって、この著作を新しい版として販売しようとした可能性を示唆している。今後は、上記の推測を検証すべく、印刷時の修正箇所 (stop-press variants) について調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の第二段階として予定していたデータベース化を進めることができたが、コロナウイルス関連の事情により、国外での調査が難しい状況が続いていることにより、実地調査が必要な関連史料の分析に関して進捗が思わしくない部分があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ関連の事情で、いまだ海外渡航を要する調査は困難な状況であるが、可能な範囲で、言語テクストとパラテクストの要素を、当時の出版事情、創作原理の観点から俯瞰的に考察するための分析を進めていく。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)