ルーチョ・フォンターナの新しいモノグラフィの為に:補完研究として
Project/Area Number |
19K13000
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Tohoku Gakuin University (2020-2022) Tokyo National University of Fine Arts and Music (2019) |
Principal Investigator |
巖谷 睦月 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (40749199)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ルーチョ・フォンターナ / 瀧口修造 / 20世紀イタリア芸術 / 20世紀イタリア美術 / 空間主義 / イタリア美術 / 現代美術 / 20世紀美術 / ネオンと芸術 |
Outline of Research at the Start |
ルーチョ・フォンターナは、イタリア移民の子としてアルゼンチンで出生し、民族的母国イタリアに帰還して育った芸術家である。第二次世界大戦後、ミラノにおいて空間主義を提唱し、20世紀後半の前衛芸術運動の旗手となった。 この芸術家について、日本ではこれまで、1964年と2016年に2冊のモノグラフィが出版されている。本研究では、この2冊を中心としたこれまでの日本におけるフォンターナ研究で欠落している部分を補完し、国外の最新の研究動向において注目されつつある問題を広く扱って、新しいモノグラフィを執筆することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
数年来の感染症の蔓延が生み出した状況と、ウクライナ戦争の余波による航空旅券の高騰により、残存する研究費を使用しての海外渡航が難しい状況が続いたため、希望していたアルゼンチンおよびイタリアでの現地調査は実質的に不可能であった。そこで、イタリアよりもむしろ国内での調査にアドバンテージのある分野について研究を進めると共に、国内においても可能な分野の文献資料の収集・検討と、すでに収集してあった文献資料の検討・整理をするとともに、とりよせの可能な資料を収集することにした。 本研究課題では、これまでのルーチョ・フォンターナと空間主義についてのモノグラフィに欠けている部分を補い、最終的に新たなモノグラフィを発表することを目的としているため、日本国内にいることがアドバンテージとなる研究でありながら、これまであまり進んでいなかった、瀧口修造によるフォンターナの最初のモノグラフィの制作過程における両者の交流、また、瀧口による宣言文の翻訳過程における緻密な作業について調査し、早稲田大学イタリア研究所研究紀要に「瀧口修造によるルーチョ・フォンターナのモノグラフィ出版」を発表した。また、国内におけるフォンターナ作品の需要について、これまで谷藤史彦によって研究されてきた内容について部分的な検討を開始し、特に《空間概念 自然》のシリーズに関連する内容を一部、実作品を所蔵する遠山記念館の広報誌内に発表している。加えて、イタリア語からの邦訳がない空間主義の宣言文について邦訳と解題を作成する作業も続行中であり、こちらの成果は改めて2023年度内に論文として公表の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今般の感染症の蔓延を起因とする諸外国および日本の検疫の対応、また、ウクライナ戦争による渡航費用の高騰が直撃し、海外での実地調査は現実問題として不可能であった。このため、現地でのみ入手することのできる資料を収集することが本年度も不可能であった。計画の最初の段階で各年度に予定していた調査研究においては、「海外調査」がかなりの重点を占めていたため、今に至っても重要な資料の入手ができていない部分が多く、研究が滞っていることは否めない。 しかし、研究の初期の段階では見えていなかった先行研究における欠落について、国内に所蔵される資料からの調査研究をおこなうことで、当初よりも一層充実したモノグラフィ執筆の準備はできていると考える。その意味で、最終的な目標に向けてはこれまでより望ましい形で前進していると考えるが、課題申請時に想定していた実地調査が全くできていないことを思うに、やはり順調とは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の解決は、海外調査の再開によってのみ成し遂げうることだが、幸いにして感染症を起因とする海外渡航の困難については、今年度からある程度は対応が可能な状況になると考えられる。戦争を起因とする渡航費用の高騰については、今年度は可能な範囲で対応し、この研究課題について、ある程度の目処のつくところまで完成させたいと考える。各年度に予定していたアルゼンチンでの調査、イタリアでの調査はいずれも実現できておらず、これを終えずに課題の最終目標には到達できないので、最低限、調査の一部分は今年度に進め、先につなげたい。 上記の通り、今年度については、小規模ではあれ海外調査を再開し、国内でおこなうことにアドバンテージのある分野の研究を進めてゆくとともに、海外の資料を入手し、現状で参照できる文献を基にした執筆作業が必要と考える。客観的に見て、海外調査が進展していないという大きな問題を抱えたままでは、最終目標であるモノグラフィの完成については延期せざるをえないと思われるので、次年度以降、改めてより充実した形での研究計画を作成して再挑戦することを考え、その下準備となる研究を進めて、論文という形で発表してゆくことで、先に繋げてゆきたい。
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Report
(4 results)
Research Products
(7 results)