Project/Area Number |
19K13126
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
|
Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
橋本 史帆 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (60439502)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 移住 / 重婚 / オーストラリア / 帰国者 / イギリス / 密貿易 / 違法行為 / 植民地 / トマス・ハーディ |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は19世紀のイギリス小説の中の密貿易に注目し、民衆文化であった密貿易の隆盛と衰退が近代化の影響を受けた民衆の価値観の変化と民衆文化を抑圧しようとする社会統制を表象していることを明らかにすることにある。18世紀から19世紀前半に頂点に達したイギリスの密貿易は、19世紀後半に衰退した。本研究では密貿易の隆盛と衰退が、イギリス社会の近代化とどのように関連しているかを探る。また下層の人々が彼らの価値観と文化をいかに変化させ、それが密貿易にどのような変化を与えたか解明する。19世紀のイギリス小説に描かれた密貿易に、密貿易に関連した文化的・歴史的影響がどのように組み込まれているかを追究する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ハーディとトロロープの長編小説と短編小説を重点的に考察し、密貿易がいかに作中に表出されているか探った。この研究については密貿易だけでなく重婚、殺人、詐欺、そのほかの違法行為にも注目することになった。特に、これらの違法行為が移住と関わっていることを重視し、海外渡航とイギリスへの帰国が犯罪行為といかに関わり、どのような国内外の問題をあぶりだしているかを分析することに結び付けていった。 ハーディの短編小説分析では、重婚やアルコール中毒の問題に取り組んだ。さらに、短編小説に描かれている移住の問題についても調査し、作家が当時のオーストラリア移住をどのように解釈し、それをいかに作品に反映させているか、当時の移住の実態に言及しながら、論文執筆した。これについては本年度に共著として出版することになっている。 さらに、昨年度から引き続きトロロープを扱った。いかに重婚、詐欺の問題が海外渡航と帰国に関わっているかを解き明かすことができた。なお、この研究を通じてイギリス社会が抱える高齢化の問題が海外移住に結びついていることが分かった。ヴィクトリア朝時代の高齢化問題に関するトロロープの意見が作中に表明されていることが分かった。高齢化は現代社会が抱えるトピカルな問題であるが、19世紀に生きたトロロープがその問題をいかに理解し、問題解決したか、移住と結び付けて分析する必要が出てきたことは、大きな収穫であった。 さらに、違法行為と民衆の問題を解き明かすために、ブラッドン、コリンズ、ディケンズの作品に目を通し、今後の分析に結びつけることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
トロロープ、ブラッドン、コリンズの作品を新たに読み解く必要が出てきたことや、新しい視点で作品解釈をし、研究を続ける必要が出てきたためである。下調べにかなりの時間を要してしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
トロロープの作品を読み進め、作中に描かれた犯罪行為と階級問題、女性問題、諸外国からの帰国者に対するイメージ、イギリスと諸外国との関係性について分析していく。最終年度であるため、学会発表か論文として発信できるよう準備を進めていく。
|
Report
(4 results)
Research Products
(3 results)