Project/Area Number |
19K13139
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
|
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
中村 翠 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 准教授 (00706301)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | アダプテーション / 翻案 / 19世紀 / 自然主義文学 / 生成研究 / 自然主義文楽 / 小説技法 / 映画 / 演劇 / レアリスム / 自然主義 / ゾラ |
Outline of Research at the Start |
アダプテーション(翻案)作品はその性質上、原作の物語を知らない人(初見)とすでに知っている人(再見)の二種類の受容者をかならず念頭におかねばならない。したがって、この双方を同時にターゲットとするアダプテーションに特有の語りの手法をつきとめ、そうした手法が実際にどのように考案され、工夫されているかを究明する。とくに小説技法が発展した19世紀以降の文学作品を原作とするアダプテーション作品の例を広範に集め、その創作過程や同時代的・後世的受容を、草稿や書簡、インタビュー記事などの資料から分析する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、19世紀以降の文学を原作とするアダプテーション作品の語りの手法を考察することを目標に掲げている。19世紀は小説の技法が花開いた時代であり、そうした技法を他の芸術ジャンルに翻案する際には、工夫が必要となる可能性が高いからである。したがって前年度までは、19世紀のフランス自然主義文学がアダプテーションの発展に大きく関与したことを俯瞰する研究軸と、フランスのみならずヨーロッパ諸国の19世紀文学にもコーパスを広げ比較検討する研究軸の二本立てでアプローチをおこなってきた。 2023年度も基本的に同様のアプローチを続行した。前者の研究軸においては、自然主義文学の立役者エミール・ゾラが、芸術ジャンルを超えてどのように語りの手法を変容させていたかを検討するため、生成研究を再開した。具体的には、2024年2月に渡仏し、CNRS内のCentre Zola、パリ・オペラ座図書館、フランス国立図書館(Departement des arts du spectacle)等にて、小説・戯曲・オペラの創作を対象として、草稿・書簡や、戯曲台本を調査した。その結果、ゾラの戯曲台本が劇場で上演される際、直前で結末を変えられた痕跡が認められた。 後者の研究軸においては、ドイツの作家ゲーテによる小説とゾラの自然主義小説を比較検討することで、小説の技法の影響関係を探った。二人の作家の作品には、いくつかの共通点が見られる。この研究の一部を世界文学会関西支部研究会にて発表した。引き続き、このようにして模索された小説技法が、他ジャンルにおいてどのように創意工夫されていったかを究明していく所存である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題開始後数年は、Covid-19の蔓延と研究代表者の出産・育児が重なり、海外への出張が困難であったため、生成研究を用いたアプローチおよび海外での研究成果発表の面で進捗に遅れが生じていた。しかし2023年度は徐々に生活が立て直されていく中で、在外研修に踏み切り、それまで手付かずであった草稿や書簡等の資料調査に再び着手することができた。今後はそれら資料の分析を進め、成果を発表することに注力したい。例えば、上記の通りゾラ作の戯曲台本が劇場側に渡った後で結末の変更があったが、その変更が舞台化にあたりどのような意味を持つのか等の分析を推し進める。
|
Strategy for Future Research Activity |
長らく中断していた草稿・書簡・台本等の資料収集を再開することができたが、遅れを取り戻すためには少なくとももう一度渡航して資料調査を行う必要がある。これについては本務校の長期休暇を利用して実施することとする。 加えて、2024年度はこのような調査結果を活かして論文や学会発表などの形にアウトプットすることに尽力する。具体的には10月に日本アメリカ文学会全国大会シンポジウムへの登壇(招待)が予定されている他、19世紀フランス文学研究会でも発表が予定されている。また、これらの内容を論文にし、学術雑誌等に投稿する。
|