ステファヌ・マラルメと19世紀末フランスの読書有害論
Project/Area Number |
19K13141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Keio University (2019-2021) |
Principal Investigator |
立花 史 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (20749551)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | マラルメ / フィクションの哲学 / モレアス / 読書 / 教育 / ブールジェ / ポール・ブールジェ / モーリス・バレス / ステファヌ・マラルメ / マクシム・デュ・カン / フランス象徴主義 / フェルディナン・ビュイソン / ガブリエル・タルド / 行動嗜癖 / 男性形の総称的用法 / インクルーシブな言語 / インフォグラフィック / ボヴァリズム / インクルージョン / 中性的なもの / 芸術作品の認知的価値 / ケンダル・ウォルトン / ジャン=マリー・シェフェール / 文学と人生 / 文学・芸術の象徴主義 / アディクション / フィクション / ゲーム / 人文学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、読書のアディクションをめぐる議論の研究である。 読書が大衆消費の対象となった19世紀後半には、読書有害論が広まって20世紀を経て、終戦の頃にようやく聞かれなくなった。読書有害論は、映画有害論、テレビ有害論、スマホ有害論に取って代わられていったからである。本研究では「~~有害論」の説得力を歴史的に検討しつつ、同時に、19世紀も21世紀も、アディクションを誘発する事物に囲まれて生きているわれわれが、その中で、どのように心身のバランスを保って生きることができるのか。こうした見地から、マラルメのいわゆる文学にとどまらない多面的な活動を浮き彫りにするつもりである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はおおまかに、(1)フィクションについての理論的研究と、(2)マラルメと同時代の(主に若者の)読書に対する当時の教育関係者や作家たちの見解や反応、(3)以上を踏まえてのマラルメの詩の分析に分かれる。 昨年度の2022年度は、(2)を扱った重要な論考を翻訳して、それに訳者解説を添えつつ、そこにマラルメの詩学を位置づけるという形で(3)の輪郭を素描しておいた。今年度の2023年度は、(1)についてシカゴ大学の学会ですでに発表した内容を、査読付きの論文集に向けて論文として寄稿したものについて、査読者から字数がぎりぎり足りていないとの指摘を受け、夏に、新たにウォルトンの詩論やそれに対するアイリーン・ジョンの分析などを加筆して、再度提出したところ、秋になって査読者から、追加でたいへん有意義な指摘を受けたため、さらに修正を加えるなどして、論文の練り上げをおこなった結果、無事に12月にオンラインの論文集として刊行された。この作業をつうじて、(1)についての研究がおおよそ完了したほか、(3)についても、査読者の指摘を受けて、さらにくわしい作品分析をおこなうことができた。また、同時並行でおこなっていたもう一つの科研費研究課題の一環で、マラルメに影響を受けたギリシア系フランス人の詩人ジャン・モレアスの研究をおこなう中で、モレアスが関わって行った保守論壇の研究が深まったおかげで、その副産物として本研究課題においても(2)の研究を深めることができた。また3月19日に、福島祥行教授が主催する研究会にて、現時点での(3)の成果を発表した。 これで、2024年度に、ブラッシュアップされた作品分析を受けて、昨年度に輪郭を素描したマラルメ詩学をより詳細にまとめる作業をおこなう準備が整ったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの波が一段落したものの、旅費や宿泊費が高騰し、なかなか長期の国外出張のタイミングを見つけられないまま、インフレなどもあって、経費が予想以上にかさんでいるので、現地の資料をベースにした作業があまり進められていない。くわえて、外国語での査読者とのやりとりや論文の加筆に大きな時間を割いたこともあって、進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
国外出張のスケジュールを再検討し、国外での調査の分量を減らして研究成果をまとめることも視野に入れつつある。一応、フランスやベルギーへの国外出張の計画を立ててはいるが、現地でしか得られない資料に頼りすぎずに、図書館や記念館のオンライン資料をなるべく活用して研究成果をまとめられるような修正を加えることで、上述の進捗の遅れに対応している。
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Report
(5 results)
Research Products
(16 results)