Project/Area Number |
19K13146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02050:Literature in general-related
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Research Institution | Rikkyo University (2022-2023) Osaka University (2019-2021) |
Principal Investigator |
宮崎 麻子 立教大学, 文学部, 准教授 (60724763)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 姉妹 / ジェンダー / 文学 / 親族 / ドイツ文学 / 東ドイツ / 女性どうしの関係性 / 女性像 / ジェンダー表象 / フェミニズム / クリスタ・ヴォルフ / 比較文学 |
Outline of Research at the Start |
複数の姉妹たちを文学作品が描き分けるとき、そこには多様な女性性のモデルが示される可能性がある。姉妹たちのあいだの差異は、出身地や所属階級といった社会条件の差異に還元されることがなく、女性の個性の多様さとして現れる。 姉妹を描く文学作品を政治的言説として分析することを通して、<女性像の画一化と多様化>、<女性どうしの関係性>、<ジェンダーと家族>といった論点に新たな光をあてながら議論することを目指す。 その一環では、日本語や英語の文学との比較の視点から、ドイツ文学のカノンに大人数(三人以上)の姉妹があまり現れないことの意味や理由を問うことも試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
資料収集が進み、姉妹に関する文学の作品分析や、女性史についての文献を多く入手することができた。 昨年度に続き、シュティフター作品の分析が進んだ。今年度は『高い森』(1842/1844)に登場する二人姉妹に取り組んだ。昨年度に取り組んだ『二人姉妹』(1840/1845)とは異なり、より親密な姉妹関係が描かれていること、そしてそれをまなざす男性の視点の存在に着目している。また、親密な二人姉妹は、ユリア・フランクの小説『真昼の女』(2007)にも描かれていることが、新たに判明した。そしてこの小説と関連情報をめぐる文献に目を通すことができた。シュティフターとフランクの小説は、それぞれの成立時期(1840年代と2000年代)だけでなく、物語の舞台(17世紀と20世紀)も異なり、前提となるジェンダー秩序に違いがある。姉妹という形象だけを取り出して単純に比較することは難しいが、二人姉妹の親密な関係という観点から、文化史的な連続性という点があるとしたらどのようなものか、今後慎重に検討したい。 一昨年度、研究対象に取り入れることに決めたクリスタ・ヴォルフ作品についても、分析を行えた。小説『カッサンドラ』に登場する二人姉妹カッサンドラとポリュクセネの関係性、およびその他の女性たちとの関係性についての分析を行った。ただしこの作品に関して着実な成果をあげるためには、『物語カッサンドラの前提条件:フランクフルト詩学講義』というヴォルフの講義集も踏まえる必要があることが分かった。この講義集との取り組みは、今後の課題となる。 西ドイツの映画『鉛の時代』(1981、マーガレテ・フォン・トロッタ監督)における二人姉妹、アメリカの映画『ハンナとその姉妹』(1986、ウッディ・アレン監督)における三人姉妹についても考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献収集が大きく進展した。そしてこれまでに入手した姉妹の物語のうち複数のタイプのものについて分析が進んだ。また、ドイツ語圏における、姉妹をめぐる学際的な研究にかんして、先行研究の把握も進んだ。例えばEva Labouvie編集の2009年の論集『姉妹たちと女友達』や、雑誌L'Homme (「ヨーロッパ・フェミニズム史のための雑誌」)2017年2号「姉妹の形象 特集」といった文献の内容などである。 一方で、論文刊行の予定は出版社の事情で遅れている。 研究成果のアウトプットという観点からは、進展がなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
いくつかの事例に関して進んできた分析をまとめ、新しい研究成果として発表する方法を模索したい。 2019年にマールバッハ文学資料館で参加した国際会議の論集は、2023年末に刊行される予定であったが刊行が遅れており2024年11月刊行予定となった。 また、2021年に原稿を提出したクリスタ・ヴォルフの小説と映画化についての論文は、論集の編集作業の遅延により、刊行予定日が延期となっている。 本科研のはじめに企画していたワークショップに関しては、科研の最初の3年間はコロナ禍によって招待者に関するプランを進められず、さらにその後は代表者の所属機関の移籍、続く体調不良といった諸都合により、残念ながら企画を断念せざるをえない。しかしながら洋書の入手にかんしては利便性が上がっており、文献の入手が進んだため、当初の想定より時期的な遅れはあるものの、本科研による成果は複数の媒体にて公表していく所存である。
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