International Development of Animal Studies: An Approach from Japanese Literature and Culture
Project/Area Number |
19K13147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02050:Literature in general-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江口 真規 筑波大学, 人文社会系, 助教 (30779624)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | アニマル・スタディーズ / 屠畜場 / チャールズ・バーネット / 東日本大震災 / 羊 / 畜産動物 / アクティビズム / オーストラリア / アニマル・サンクチュアリ / エコクリティシズム / 動物の権利 / アニマル・ウェルフェア / 菜食主義 / ヴィーガン / 人新世 / 比較文学 / ヴィーガニズム / 海外における日本文学・日本文化 / 文学論 / 動物の福祉 / 動物 / 文学理論 / 日本文学・文化 |
Outline of Research at the Start |
「アニマル・スタディーズ」とは、動物と人間の差異や共生のあり方を再考する、人文学・自然科学を融合した研究の枠組みである。本研究は、近年アニマル・スタディーズが興隆した背景やその研究手法、これまでの成果をまとめ、日本における研究の基盤を確立することを目的とする。合わせて、これらの理論を参照し日本文学における動物を比較文化的に考察することにより、国際的な議論の発展に日本文化の側面から寄与することを目指す。 具体的には、関連文献の収集と精読、研究集会への参加と発表、アニマル・スタディーズの教育研究機関での調査、日本国内での研究集会の開催、研究入門書の刊行を計画している。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、日本国内における感染症対策の制限が緩和されたことを受け、これまでオンラインを中心に参加していた学会・研究会等に対面で参加し、文学・文化分野における動物の研究の動向に関して意見交換を行うことができた。具体的には、比較文学会、比較文化学会、物語研究会の全国大会や支部大会に参加し、参加者との交流を通じて、今後の共同研究の着想にも至った。また、学会出張の機会を利用して、北海道及び秋田県の羊牧場を訪問し、羊の飼育が地域の文化とどのように結びついているのか、近年の環境問題への取り組みも含めて牧場関係者に話をうかがうことができた。これに関しては、昨年度オーストラリアの博物館等で実施した動物の飼育と展示についての調査と合わせて分析を行っていきたい。 昨年度に引き続き、動物の表象と文学・文化に関する事例の研究を進めた。文学や映画作品に描かれた屠畜場に関して、特に1970年代にアメリカで公開されたチャールズ・バーネット監督の映画Killer of Sheepを中心に、アフリカ系アメリカ人の表象と羊のメタファーの関連から分析を行い、比較文化学会において口頭発表を行った。本発表の内容を加筆・修正し、環境文学に関する本の一章として論文を投稿している。また、東日本大震災後の畜産農家を描いた文学作品について、学生闘争と反原発運動の歴史を調査し、英語での論文投稿を準備している。これまでの研究で分析を行ってきた「自然」と「文化」の概念の変遷、ロマン主義とエコロジー思想の結び付きに関しては、『世界遺産の百科事典』に記事を投稿し、令和6年中の刊行が予定されている。 なお、本研究課題の成果として発表した拙論「アニマル・スタディーズの発展と動向――文学・文化研究とアクティビズムとの関わりから――」(『比較文化研究』第144号、2022年度日本比較文化学会奨励賞受賞論文)を対象として、令和5年9月に筑波大学若手教員奨励賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに学会や研究会で口頭発表を行ったテーマについて、さらなる調査を行い論文にまとめ投稿する予定であるが、学内業務等の関係により予定よりも遅れている。今後は研究時間を確保できるよう、業務分担の改善に努める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、当初2021年にシドニーで予定されていたアニマル・スタディーズの国際学会Minding Animalsに参加して口頭発表を行い、近年のアニマル・スタディーズに関する動向を調査することを主な計画の一つとしていた。新型コロナウイルス感染症の影響により、学会は2024年7月の予定で延期されたものの、運営に係る経済的な問題のため、2024年1月に中止が決定した。2024年5月現在、今後の学会開催については未定である。 そのため、令和6年度の研究計画に関しては変更が必要となり、本研究課題を通じてこれまで行ってきた動物の表象と文学・文化に関する事例の研究を中心的に進め、論文の執筆に注力することを目指す。具体的には、以下の三つのテーマを予定している。 (a)アメリカの映画Killer of Sheep(1977)に関して、その歴史的背景に関する文献や映画のデータを整理する。作品中の屠畜場と羊のメタファーの解釈を試み、文学作品や映画に描かれた屠畜場の意義について考察する。(b)東日本大震災と畜産農家に関する文学作品について、これまでの先行研究を整理しながら、学生闘争と反原発運動の歴史の観点から論じる。福島県の牧場での現地調査も予定している。アニマル・スタディーズ関連の学術誌に投稿し、日本の動物をめぐる事例を国際的な視野から捉え直すことを目指す。(c)北海道の畜産農家で育てられたアニメーターを主人公とする、NHK連続テレビ小説『なつぞら』(2019)について、「漫画映画」の誕生と動物表象の観点から作品を分析する。ドラマの舞台となった北海道帯広市の開拓と畜産の歴史、人と動物の関わりの変遷について、現地博物館等での調査を予定している。
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Report
(5 results)
Research Products
(29 results)