Project/Area Number |
19K13226
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02080:English linguistics-related
|
Research Institution | Japan Women's University (2023) Daito Bunka University (2019-2022) |
Principal Investigator |
堀内 ふみ野 日本女子大学, 文学部, 准教授 (80827535)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 用法基盤 / 響鳴 / 文脈 / 習得 / 親子会話 / 用法基盤モデル / 言語習得 / 前置詞 / 認知言語学 / CHILDES / 対話 / 相互行為 / 機能語 / 第一言語習得 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、我々の言語知識はどのように形成されるのかという問いに対し、対話的な相互行為に見られる言語使用のパターンが知識形成の基盤となるという仮説を、英語前置詞(以降、不変化詞を含む)の習得過程をもとに追求する。映像資料を含む親子会話のコーパスを用いて、子供が前置詞を使用する構文、発話連鎖上の位置/機能、身体動作との共起関係を定量的に示す。さらに、それらが月齢に応じてどのように変化するか分析し、前置詞に関する知識の習得過程を解明する。これを通して、対話における発話の連鎖関係や相互行為上の機能が前置詞の習得に与えている影響を分析し、コミュニケーションの中で言語知識が形成されるメカニズムを探る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の概要は、以下のとおりである。 第一に、親子会話コーパスのデータを、先行発話と類似した発話を次話者が行う「響鳴(resonance)」の観点から分析した。これまでは、子供が親の発話に出てきた前置詞を直後の発話で繰り返すという語彙的な響鳴に着目し、それが言語習得において担う役割を探求してきた。今年度は、対象を前置詞以外の品詞にも拡大し、また、発話のリズムやイントネーションといったパラ言語的情報まで含めた観察を行った。それを通して、これまで前置詞の観察に基づいて論じてきたことは他の品詞の語にも当てはまる面と前置詞固有の面があること、パラ言語的なレベルにも響鳴が観察されることなど、議論の一般化・体系化につながる示唆が得られた。 第二に、本研究課題で取り組んできた文脈依存の構文形成に関する研究の手法や成果を、日本語の創造的・逸脱的な構文の分析に応用した。具体的には、日常会話に見られる創造的・逸脱的な構文の事例として、付属要素始まり発話を用法基盤(usage-based)のアプローチで分析し、先行発話との関係や、コミュニケーションモードの特性の観点から、その構文が形成される動機付けを考察した。それを踏まえ、構文知識が相互行為の文脈に依拠して形成されていくという議論を深化させた。 このように、「対話的な相互行為に見られる言語使用のパターンが知識形成の基盤となる」という本研究課題の仮説に対し、分析の観点や対象を広げながら検証を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、成果発表が延期となったり、対面での学会参加を断念したりしたことで計画変更を余儀なくされる時期が続いたが、今年度は分析対象の語彙や分析観点を拡大し、より体系的な現象の記述に向けて研究を遂行した。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、前置詞以外の品詞の語やパラ言語的な情報にも着目した分析を推進し、論文を執筆する。また、これまで行ってきた分析結果を整理して体系化し、習得研究のみならず、用法基盤の構文研究や対話統語論の枠組みでも議論することで、より広い研究分野への貢献を目指す。
|