外交史料からみる近代タイの文化政策: 絶対王制期を中心として
Project/Area Number |
19K13367
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日向 伸介 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (60753689)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | タイ / 文化政策 / 外交関係 / イギリス / フランス / 日本 / 外交史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、近代タイの文化政策史を、対外関係を視野に含めて再検討するものである。とくに、近現代における文化政策の原型が確立された絶対王制期(19世紀後半~1932年)の対フランス・イギリス関係と、その影響を最も強く受けたと考えられる文化財行政に着目する。当該分野においては、これまではおもに王権とナショナリズム、さらにお雇い外国人の果たした役割などについて、国内的な要因に比重を置いた研究が蓄積されてきた。 これに対し本研究は、欧米列強のヘゲモニー争いの場という観点からタイの文化政策をとらえなおし、外交史料を活用して公的文化の形成過程を再検討する試みである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の主要研究実績は以下の3点である。 第一に、昨年度から継続して取り組んでいるプリッサダーン親王(1851~1935)について、1930年に葬礼配布本として刊行された自伝と近年の研究を基礎資料として、生涯の事績をまとめた。また、立憲主義の導入に関する1885年の奏上書の翻訳をついに完了することができた。次年度は、これらの成果公開のために詳細な注を付す作業を集中的におこなう予定である。 第二に、まだ不明な点が多いラーマ5世王治世期(1868~1910)の博物館行政について、同時代にバンコクを訪れた外国人の記録を網羅的に調査し、従来の博物館史では紹介されてこなかった記述や、実際の展示状況の一部が確認できる写真を複数発見した。くわえて、最初期の博物館行政の中心人物であったイギリス人の元外交官であるヘンリー・アラバスター(1836~1884)関連の未刊行資料を入手し、博物館展示のためにアラバスターが収集した物品を、部分的にではあるが把握することができたのは大きな成果である。以上の調査結果をとりまとめ、次年度は論文の執筆をおこなう。 第三に、近代タイの知識人によるラーマーヤナ関連文化の認識と表象を、他国との関係に着目しながら論じた章を研究代表者が執筆した共著『現代東南アジアにおけるラーマーヤナ演劇』(2023年3月刊行、福岡まどか編)の英語版が、Ramayana Theater in Contemporary Southeast AsiaとしてJenny Stanford社から刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、2019年度に予備的な史料調査をおこなったのち、2020~2021年度にかけて国外の図書館・公文書館において本格的な調査をおこなう予定であったが、残念ながら前々年度・前年度に引き続き、2022年度も新型コロナウイルスによる規制と航空券の高騰により、現地調査が叶わなかった。しかし、外交関係に着目しながら絶対王制期のシャムにおける政治と文化の様態を明らかにするという目的は変更せず、上述のとおり、史資料の調査と翻訳を着実に進めることができた。したがって、制約はあるものの、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はコロナ関連の規制がほぼなくなるため、過去3年間実施できなかった国外での史料調査を再開できる見通しである。国外での調査と、上述した今年度までの調査実績に基づき、研究成果の公開を目指す。
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Report
(4 results)
Research Products
(7 results)