Application of population dynamics models to insect pest management in museums
Project/Area Number |
19K13426
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
渡辺 祐基 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 研究員 (20825583)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 文化財害虫 / 木材害虫 / X線CT / チビタケナガシンクイ / オオナガシバンムシ / シミ / 生活史 / 個体群動態 / 総合的害虫管理(IPM) / 博物館 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、従来よりも説得力・実効性のある博物館の総合的害虫管理(IPM)体制の提案を目指す。そのために、各種文化財害虫の生態・食害・行動に関わる基礎実験データを取得し、個体群動態モデル(個体数の時間的・空間的変化をモデル化したもの)・食害モデル・行動モデルを構築する。また、各種文化財害虫に対する薬剤の有効使用量を調査する。以上のモデルおよび実験データに基づき、文化財害虫によるリスクの予測、トラップ調査に基づいた生息個体数推定、および薬剤散布の必要性・必要量評価を可能とすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、前年度に引き続き、竹材害虫チビタケナガシンクイ、木材害虫オオナガシバンムシ、および紙や書籍の害虫であるシミ科の一種を対象とし、基礎的な生活史や食害特性、行動パターン、および個体群動態を明らかにするための研究に取り組んだ。 チビタケナガシンクイについては、マイクロフォーカスX線CT装置によって標本を高分解能撮像することで成虫の雌雄を判別する方法を検討した。この方法に基づき、幼虫期の齢数が異なった個体の雌雄判別を試みた。 オオナガシバンムシについては、前年度に引き続き、食害材内部における幼虫の行動および成長過程を文化財用X線CTスキャナによって非破壊的かつ継続的に観察した。その結果、幼虫は食害材内部の虫粉を主に摂食しながら成長している可能性が示唆された。幼虫の発育速度は極めて遅く、幼虫期間は2年を超えると考えられた。また、個体数は限られるものの、蛹を経て成虫となる過程も観察することができた。 シミ科の一種については、産卵時期および産卵数の調査を行い、幼虫が一定の齢期に達すると産卵可能となること、産卵は4月頃から開始されること、年に複数回産卵する場合もあることなどを確認した。また、発生現場における捕獲調査に基づき、齢構成の季節変化を明らかにできた。さらに、DNAバーコーディングによるシミ類の同定手法の有効性を検討するため、供試標本を収集し、予備実験に着手した。 上記および昨年度の成果の一部を学術誌や国際会議の論文集において公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も、チビタケナガシンクイ、オオナガシバンムシ、およびシミ科の一種について、個体群動態および食害の進行過程をモデル化するために必要な基礎的知見を得ることができ、概ね計画通りに研究を進めることができた。さらに、シミ類のDNAバーコーディングを実施するための準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
オオナガシバンムシについては、幼虫期間が複数年に及ぶことが明らかになったため、今後長期的かつ継続的な観察が必要になると考えられる。次年度は、特に蛹化および羽化の時季および羽化後の行動を明らかにすることを目指す。さらに、食害材の樹種同定を行い、樹種と摂食行動の関係等も検討する予定である。 シミ類については、これまでに得られた発育、繁殖、齢構成などに関するデータに基づき、個体群動態のモデル化を試みる。さらに、複数種のシミ類のDNAバーコーディングを実施してDNA塩基配列情報を明らかにし、それらの形態的特徴と関連付けることを計画している。 さらに、シミ類やカツオブシムシ類の文化財害虫の行動(歩行)パターンをモデル化するため、ビデオカメラ等による行動観察を実施予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)