Project/Area Number |
19K13459
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
|
Research Institution | University of Tsukuba (2022-2023) Daito Bunka University (2019-2021) |
Principal Investigator |
増木 優衣 筑波大学, 人文社会系, 特別研究員(PD) (80828442)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | インド / 公衆衛生 / サニテーション / ダリト / 清掃人 / 清掃人カースト / ヴァールミーキ / 歴史 / トイレ / NGO / 文化人類学 / ラージャスターン |
Outline of Research at the Start |
本研究は、インドにおける被差別民(ダリト)である清掃人カースト・コミュニティーについて、英領植民地期を通じて彼らが「トイレ清掃人」としてカテゴリー化され、言説としての彼らの不浄性が強化されていくなかで、清掃人カーストの人々自身により、そのような支配的なステレオタイプの戦略的な受容がいかに行われ、また、彼ら独自の文化実践をめぐり地域住民との間でいかなる相互交渉がなされてきたのかを、清掃人カーストの主体性に着目しつつ明らかにするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インドの被差別民である不可触民(以下「ダリト」と表記)のなかでも、「清掃人カースト」と呼ばれる人びとが属するコミュニティーの、歴史的変容を明らかにしようと試みるものである。具体的には、イギリス植民地期の19世紀から、現代にいたるまで、インドの地域社会で公衆衛生政策(とりわけ、トイレや下水道などのし尿処理をめぐるサニテーション政策や、その他のごみ処理等に関する政策)が展開されるなかで、清掃人カースト自身により、清掃業・サニテーション業が(ときに積極的に)受容されてきた過程について考えるものである。 2023年度(令和5年度)は、前年度の2022年度に成果として発表された単著である、『ヴァールミーキはどこへ行けばよいのか――現代インドの清掃人カースト差別と公衆衛生の民族誌』(春風社)の内容をふまえた発表を、研究会を通じて行った。その際、清掃人カーストが清掃業を、自らの特権として積極的に受容してきた歴史について報告を行った。発表の成果としては、主に次の2つが挙げられる。すなわち、(1)インドの清掃人の事例を共有することを通して、インド以外の地域で清掃業に従事する人びとの、清掃業に対する認識との共通点・相違点が明らかになったことや、(2)それにより、公衆衛生政策を推進する側に位置する人びとが、清掃業従事者の視点に立ちながら、将来的にどのような政策を提言していくべきかという、より普遍的・世界的な課題について考えるための土台が提供されうるきっかけとなった可能性がある、ということである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に新型コロナウイルス感染症拡大のため、インドで現地調査を行うことが困難となった。その後もインド渡航が容易ではなかったため、現地調査の進捗状況は芳しくなかった。2023年度は、別の研究課題でインドに渡航する機会に恵まれたが、その際に並行して本研究課題の調査も可能となった。しかし当初の予定と比較し、現地調査が実施できた期間は短いため、その観点からみて「やや遅れている」との判断に至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に得られたデータの整理を行い、研究成果として少しずつ発信していきたいと思っている。また、必要に応じて現地で資料の収集を行いたいと考えている。
|