Project/Area Number |
19K13485
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University (2023) Kyoto City University of Arts (2019-2022) |
Principal Investigator |
安井 祥恵 (小久見祥恵) 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (80793140)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | ヴァルネラビリティ / 身体性 / 身体的統合性 / フェミニズム / ハラスメント / 親密圏 / 面会交流 / 人工妊娠中絶への権利 / 平等 / ヴァルネラビリテイ / 家族 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、従来の家族に代わる領域として構想される親密圏において、親密な関係がもたらす差別や抑圧の構造を、どのように解消するのか、という課題に取り組む。親密な関係が差別や抑圧を生み出す要因は、親密圏における人々がヴァルネラビリティ(vulnerability 脆弱性)を有することにあると考えられる。ゆえに、ヴァルネラブルな主体を前提に、親密圏の各構成員が等しい配慮と尊重を受けるという意味での「平等」がどのようなものであるのかについて探求し、親密圏における「平等」の再構成を試みる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、親密圏において生じる問題の多くが親密圏の構成員のヴァルネラビリティ(脆弱性)ゆえに生じるものと考え、ヴァルネラブルな主体を前提に、親密圏における「平等」がどうのように実現できるかについて探求するものである。 本年度は、①前年に引き続きフェミニズムの身体論を手がかりに、セクシュアリティと身体をめぐる問題について検討し、セクシュアリティおよび身体と法制度の関係ついて考察を進めた。本テーマは、2020年度の「人工妊娠中絶の権利をめぐる議論」を具体的問題として取り上げ、「身体的統合性(bodily integrity)」概念をヴァルネラビリティ論の観点から検討した研究と関連している。2020年度の研究を通して、フェミニズムで論じられてきた「身体性」をめぐる議論を踏まえて、「アシュリー事件」と関連付けて、フェミニズムの身体論の射程が女性の身体だけでなく、障がい者の身体を含めたすべての人々の身体におよびことを明らかにし、その意義を検討した。その成果を2023年度法哲学会学術大会統一テーマ:日本法哲学会創設75周年記念大会「法哲学の現在」グループ1「性・生殖・法」において、「フェミニズムの身体論と法制度:アシュリーXの事例を手がかりに」と題して発表した。本報告の内容にかんする論文を『法哲学年報』に投稿済であり、2024年度に公表される予定である。 ②第二に、過年度までの研究を踏まえて、ヴァルネラビリティの観点からキャンパス・セクシュアル・ハラスメントについて検討した。ヴァルネラビリティの観点からハラスメントについて検討するに際して、学術環境研究会のハラスメント研究の知見およびハラスメント問題に取り組む会員との交流を得て、理論的観点から及び実践的観点からの検討を行う研究会を9月に実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ヴァルネラビリティ概念と密接に結びつく身体論について、女性の身体だけでなく障がい者の身体をめぐる問題を手がかりに、考察を深めることができ、さらに成果を公表する機会を得ることができた。また、新たな展開として異分野の研究者とハラスメント問題の理論的・実践的検討を重ね、研究を進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度はこれまでの、人工妊娠中絶などの身体をめぐる諸問題とヴァルネラビリティや離婚後の非監護親の面会交流の実施にかんする問題とヴァルネラビリティの観点からの研究の成果の発表を進める。同時に、親密圏における「平等」の再構成にかんして、これらの諸問題の検討を通しえた知見と理論的検討の知見を結び付け、総合的に検討をすすめる予定である。それらの成果について、研究会での発表等に積極的に取り組み、内容のブラッシュ・アップに努める。
|