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近世における私法理論の構築契機-原状回復論の解体プロセスに着目して

Research Project

Project/Area Number 19K13489
Research Category

Grant-in-Aid for Early-Career Scientists

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section Basic Section 05010:Legal theory and history-related
Research InstitutionSeinan Gakuin University

Principal Investigator

中野 万葉子  西南学院大学, 法学部, 准教授 (10761447)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2021)
Budget Amount *help
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Keywords後期スコラ学派 / 近世自然法論 / 原状回復 / 契約 / 合意 / 所有権 / 私法理論 / 債務発生原因
Outline of Research at the Start

本研究の目的は、後期スコラ学派の原状回復論の解体プロセスを眺めることで、近世の合意を主体とする私法理論の構築契機を明らかにすることである。後期スコラ学派は、契約、不法行為、不当利得を原因として発生するあらゆる債務を「原状回復」概念を用いて説明するが、グロチウスやプーフェンドルフといった近世自然法論者になると債務の発生原因を合意とその他(不当利得・不法行為)に大別するようになる。本研究では、原状回復主体の法理論から合意主体の法理論への転換に関する積極的な理由およびそれぞれの法理論を基礎付ける法的思考を探求することで、近世の合意を主体とする私法理論の構築契機を解明する。

Outline of Annual Research Achievements

後期スコラ学派の原状回復の解体プロセスを眺めることで、近世の合意を主体とする私法理論の構築契機を明らかにするという本研究の目的に照らし、債務の発生原因にかかる分類の出発点を確定すべく、後期スコラ学派から近世自然法論にかけての債務発生原因の変遷に焦点を当てて研究を進める必要性があることを研究計画書において示した。それは、後期スコラ学派が契約、不法行為、不当利得を原因として発生するあらゆる債務を原状回復(restitutio)概念を用いて説明するのに対して、後期スコラ学派と近世自然法論の仲介者と評されるレッシウスの法理論を経て、グロチウスやプーフェンドルフといった近世自然法論者になると債務の発生原因を合意とその他(不当利得・不法行為)に大別するようになるという点について、その変遷の要因にかかる考察が不足しているからである。こうした観点から、上記の変遷の要因に所有権概念の変化があったことを確認すべく、後期スコラ学派の影響を受けていると評されているグロチウスの『戦争と平和の法』や『オランダ法学入門』において説明される所有権概念を把握するために、文献を収集するとともに、それらを分析・検討するなどの研究を進めてきた。具体的には、所有権概念を「所有権とは、占有を失った者が占有者に返還を請求できる財産権である」(グロチウス『オランダ法学入門』)と定義している点に関して、後期スコラ学派との連続性がみられるが、交換的正義から脱皮する傾向もうかがえることが明らかになった。
しかし他方で、2021年10月より産前産後休暇および育児休暇を取得したため、当初の計画通りに研究を遂行することができず、2021年度に予定していた研究テーマについて最終年度に繰り越す部分もある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

産前産後休暇および育児休暇の取得により、当初の計画通りに研究を遂行することができなかった。
また、COVID-19の世界的大流行の影響が依然として続いていることにより、当初予定していたドイツ出張による関連資料の収集が実現できなかったことも要因として挙げられる。次年度も引き続き、2021年度に予定されていた研究を進める必要があるため、当初の研究計画に照らして遅れていると評価せざるを得ない。

Strategy for Future Research Activity

本研究の最終年度にあたる2022年度については、前年度の研究課題を継続して進めるとともに、当初計画していた内容についても研究を進める予定である。具体的には、プーフェンドルフの体系配列、所有権の意味および位置付け、ならびに合意の位置付けを考察する。プーフェンドルフもグロチウスと同様に、原状回復について独立した章を設けず、所有権論の直後に契約を配置する。しかし彼は、権利概念ではなく、義務概念を基礎として私法理論を展開する。すなわち、人間の本性から導き出される義務とその義務の根拠である合意を基礎とする義務の体系を構築し、合意を「条件的義務」、不法行為や不当利得から発生する原状回復や損害賠償義務を「絶対的義務」として説明する。かかる考察により、近世自然法論においては、合意を独立させるとともに、後期スコラ学派で展開された原状回復論を継承しつつ、新たな枠組みで説明することが明らかになると考える。

Report

(3 results)
  • 2021 Research-status Report
  • 2020 Research-status Report
  • 2019 Research-status Report

URL: 

Published: 2019-04-18   Modified: 2022-12-28  

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