アメリカ労災補償法制の基本理念-排他的救済主義の意義と射程
Project/Area Number |
19K13530
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05040:Social law-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
地神 亮佑 大阪大学, 大学院高等司法研究科, 准教授 (80762038)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | 労災保険 / アメリカ / 労災補償法 / 労災保険法 / アメリカ法 / 排他的救済主義 / 第三者災害 / メリット制保険料率 |
Outline of Research at the Start |
わが国において、労働災害を被った労働者が、労災保険でカバーされない損害を使用者に賠償請求することが増加している。他方で、アメリカにおいてはそのような使用者に対する民事訴訟ができない仕組みとなっている(排他的救済主義)。本研究では、そのような制度をとっている理由、それが正当化される根拠等を文献研究をもとに明らかにし、またそうした制度が労働者の救済に与える実際の影響について、現地行政機関等への聴き取り調査をもとに明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカ各州の労災補償制度は、、使用者の雇用する被用者が労働災害によって損害を被った場合、当該使用者は無過失責任に基づいて労災補償責任を負うが、一方で不法行為法上の損害賠償責任を免れる仕組みとなっている(排他的救済主義)。 本年度は、アメリカ労災補償法の基本文献であるLarson"Workers' Compensation"の読み込みを行い、とりわけ、排他的救済主義の基本的な理解(使用者と被用者とのトレード・オフ関係)を確認した上で、近年明らかになってきた排他的救済主義の新たな課題、特に使用者側のハラスメントがあった場合に、使用者が不法行為法上の責任を負うかについてを中心に検討を行った。わが国の労災保険法は排他的救済主義をとっておらず、労災保険給付が認められた場合であっても使用者に対する不法行為または債務不履行に基づく損害賠償請求が可能であるが、労災保険制度において使用者が保険料を払っているにもかかわらず、その使用する労働者によるハラスメント等により保険給付を超えて賠償責任を負うことに対する理論的・実務的課題を考えるにあたって、アメリカにおける(特にハラスメントをめぐる)議論は参考になり得る。本研究の成果は、次年度中に大学紀要に学術論文として掲載予定である。 本年度は感染症その他の問題により現地調査を行うことができなかったが、現地調査の対象となる弁護士事務所および研究所の選定を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
基本的な文献研究は行ったものの、学術論文として公表するまでには至らなかった。また、現地調査については、訪問予定であった研究所が完全リモートワーク化によりクローズとなっており、訪問先の再検討が必要となったため、実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った文献研究の成果は、早急に大学紀要に掲載する予定である。続いて、現地調査(ミシガン州を予定。ただし、もう1州を選定中)を9月に行い、令和5年度中に、その成果を研究会報告し、大学紀要等に学術論文として掲載する。
|
Report
(4 results)
Research Products
(5 results)