情報取得捜査を中心とする捜査立法の基本思想と立法技術に関する研究
Project/Area Number |
19K13547
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
斎藤 司 龍谷大学, 法学部, 教授 (20432784)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 規律密度 / 強制処分法定主義 / 法律留保の原則 / 裁判官留保 / 電磁的記録 / 越境捜査 / 立法技術 / 令状主義 / 捜査の規律方法 / 本質性理論 / 刑事立法 / 法律の留保原則 / 監視型捜査 |
Outline of Research at the Start |
日本は、GPS監視捜査などの拡大に伴い、これまでに比べ法律による捜査活動の規律が広範囲となる、そしてあるべきとされる転換点を迎えている。このような状況のもと、本研究は、日本でこれまで捜査活動の法的規律を支えてきた基本思想や立法技術の論理を明らかにしつつ、すでに幅広く捜査活動を明文の規定で規律し、法改正を続けてきたドイツの基本思想や立法技術の論理、刑事訴訟法以上に活発な法改正が進められている刑法や行政法などの議論などを研究することで、今後の日本における「法律による捜査活動の規律」を支える基本思想、そして立法技術の論理を言語化し、理論化しようとするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、強制処分のうち、電磁的記録に対する強制処分に関する法的規律を対象に研究を進めた。 電磁的記録の強制的な取得は、捜査機関がアクセス可能な範囲、強制的に取得が可能な範囲、さらにはその判別の方法など課題が多く指摘されている。データやこれを扱うPC等なしでは生活が成り立たない現代社会においては、電磁的記録の取得なしに刑事手続も成り立たない。他方で、その適切な規制がなければ、捜査機関は無制限に電磁的記録にアクセスし、取得できてしまうことになる。もっとも、その規律については、世界諸国でも統一したものは存在しておらず、また日本はPC等の有体物を通じての電磁的記録の取得というやや特殊な方法を採用している。 そのため、日本の規律の在り方は、有体物に対する強制的な取得をベースとしながら、アクセス・取得範囲を限定する方法をとっており、一定の明確かつ分かりやすい規律を採用している。もっとも、そのような規律は世界水準から見ても遅れており、電磁的記録を直接対象とする規律が必要との指摘も有力に主張されている。本年度の研究では、日本における上記の規律の問題点と今後の課題を確認するため、電磁的記録の強制的な取得の重要問題である「リモートアクセス」を検討した。この問題に対する令和3年2月1日の最高裁判例の検討などを通じ、国際法や情報法の観点からも含めた検討を進めた。その結果、特に国境を越えたデータアクセスについて規律する際の理論的課題などを確認し、データ蔵置国が常に移動し不明確な場合の「相手国の同意を得ない強制取得」の判例の論理などを確認・検討した。 この成果は、2023年度出版予定の書籍に掲載される予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、ドイツにおける捜査手続に対する法的規律のありかた、そしてその基本思想を言語化するため、渡独し、ドイツの研究者や立法担当・関係者へのインタビュー調査を実施する予定であった。文献調査などを相当程度行ったものの、いわゆる「本質性理論」をベースとして侵害対象の権利の重要性や権利濫用の大きさ、権利侵害の主体、密行性の有無などを考慮して規律密度を決定していることはほぼ明らかにできたものの、これらの判断要素を具体的にどのように駆使して、規律密度を決定しているのか、十分示されていないからである。 ところが、新型コロナウイルスの影響で、これらの調査は実施できずにいた。2022年度の後期は新型コロナウイルスの影響が薄れ始め、ドイツ人研究者とのコミュニケーションも復活したが、家庭の事情などもあり渡独はかなわなかった。ドイツ人研究者とのやり取りは再度スタートしたものの、いまだインタビュー調査を実施できていない点を踏まえて、上記のような進捗状況の評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに本研究は総括すべき時期に来ているので、上記の進捗状況で確認したように、ドイツにおける研究者や立法担当・関係者に対するインタビュー調査の実施、そしてその成果のまとめと研究成果全体の総括を行うことが必要となる。 本年度は、渡独する準備もたっているが、新型コロナウイルスの影響や家庭の事情で実施できない可能性も否定できない。そのような状況を考慮して、本年度は、Zoom等を用いたインタビュー調査を行うことができるよう準備も進める。 成果をまとめるに当たっては、本年度から、電磁的記録の強制的取得をテーマとして龍谷大学大学院の博士課程に進学した学生の助力も得ることにする。
|
Report
(4 results)
Research Products
(26 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 新経済刑法入門 第3版2020
Author(s)
斉藤 豊治、浅田 和茂、松宮 孝明、髙山 佳奈子
Total Pages
458
Publisher
成文堂
ISBN
9784792353186
Related Report
-
-
[Book] 團藤重光研究2020
Author(s)
福島 至
Total Pages
344
Publisher
日本評論社
ISBN
9784535524712
Related Report
-