Project/Area Number |
19K13565
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 友則 山口大学, 経済学部, 准教授 (00725872)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 損害軽減義務 / 契約責任 / 債権者の責任 |
Outline of Research at the Start |
契約の当事者が契約相手の約束違反によって損害を被った場合であっても、被害者が回避や軽減をできた損害まで相手方に賠償の負担を負わせることは、道義的観点から否定的な評価をされる。もっとも、被害者に損害の回避・軽減措置につき責任を負わせることは、被害の回復を求める権利を制限してしまうことでもある。 このような評価をうまく実現する法制度は、まだ日本にはない。そこで本研究は、被害者がとりうる損害の軽減措置について、許容されうる責任ルールの提示を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「債権者による損害の軽減措置に関する許容されうる責任規範」の構築を目的とし、そのために、①損害軽減義務はどのような法的性質を有する概念か、②損害軽減義務はいかなる法制度との関係で位置付けるべきか、を検討するものである。 本研究においては、ドイツ法の損害軽減義務制度について、特にObliegenheit概念に着目して検討を行い、損害軽減義務というObliegenheitは、損害賠償制度と強い結びつきを有するのであり、当該損害賠償制度が損害軽減義務の対象となる損害の回避・軽減措置を評価し、損害賠償請求権を付与することとの関係において、一定の損害回避・軽減措置を要請することを明らかにした。 この点、Obliegenheitは、相手方たる権利者の利益の実現・保護を目的として課される通常の義務と異なり、Obliegenheit負担者が法制度により与えられる権利・利益を確保するために(要件充足のために)実施しなければならない義務である。このため、損害軽減義務は民法415条の損害賠償制度との関係で位置づけることに親和性を有するといえる。しかし、損害軽減義務は、民法418条の過失相殺制度において問題とされる債権者の過失(過失を基礎づける客観的注意義務)とどのような関係にあるのか。 当該年度は、これらの疑問を明らかにすべく、損害軽減義務と過失相殺制度との関係の再検討を行い、過失相殺制度においてもその基盤にある考え方が多面的となっていることを明らかにし、一義的に損害軽減義務との関係を位置づけることは困難ではないかということを明らかにした。その中では、過失相殺制度が債務者の帰責事由との関係で債務者の負担する責任の範囲を策定するという側面においても、債務者の帰責事由を過失との関係で考えるのか契約の拘束力との関係でとらえるのかによっても、損害軽減義務との関係性が異なってくることなどを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度をもっても研究の完成まで至らしめることができなかった点において、「やや遅れている」と評価せざるを得ない。 当該帰結は、一昨年度までの新型コロナウイルスを原因とする研究計画の大幅な遅延によるところが大であるが、昨年度より研究対象制度のさらなる構造分析による深化を試みたことも一因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスを原因とする社会状況の変化により当初の研究計画を完全にトレースすることは困難となったが、研究目標達成のための基礎となる研究は十分に行えたものと考える。 その上で次年度の1年間は、①損害軽減義務が民法418条の過失相殺制度において問題とされる債権者の過失とどのような関係にあるのか、という問題を、ドイツ法の過失相殺制度の視点を取り入れつつさらに検討を行うとともに、②民法415条の損害賠償制度において損害軽減義務はどのように位置づけることができるか、という問題の検討もさらに進めていきたい。その上で、最終年度たる次年度に完成へむけて研究をまとめていく。
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