Project/Area Number |
19K13692
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Keio University (2023) Aoyama Gakuin University (2019-2022) |
Principal Investigator |
小橋 文子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (30528922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 経済政策 / 通商協定 / 国際的工程間分業 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、企業の生産活動のグローバル化によって、通商協定が果たすべき新たな役割が生まれてくるのか、通商協定による互恵的な貿易自由化のあり方はどのように異なってくるのか、という問いを経済学的視点から検討する。国境をまたいで生産工程が分散立地されるようになることで、最終財の取引のみを想定した従来のモデルから導かれる結果と比較して、通商協定の目的・必要性がどう異なってくるのかを理論的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、国際的な工程間分業の進展下における財貿易を通じた国家間の経済依存関係の特異性を考慮して、通商協定の役割や必要性を分析している。とくに、通商協定が果たすべき新たな役割が生まれてくるのか、通商協定による互恵的な貿易自由化のあり方はどのように異なってくるのか、について関心を寄せている。より具体的には、これまでの研究成果を拡張させる形で、交易条件操作以外の理由で国際的な外部効果が生じるケースを検討し、その外部効果を是正するための通商協定の役割を理論的に分析している。
国際的工程間分業の進展下での通商協定の役割を理論的に検討するにあたって、とくに、非関税措置の特性を考慮した分析の拡張を試みている。製品基準、技術規制といった非関税措置の重要性は近年ますます高まっているが、伝統的に分析対象とされてきた輸入関税とは異なる特殊性を考慮する必要がある。関税との重要な相違点として、(1) 非関税措置の存在そのものは必ずしも貿易制限的とは限らない点、(2) 似通った政策目的でも、多様な種類の措置が各国で異なる方法で複雑に組み合わされて実施されている点、が挙げられる。第一の点は、非関税措置を関税の代替手段としてみなす従来の分析の限界を意味している。さらに、第二の点は、国家間で異なる非関税措置体系が引き起こしうるグローバルな非効率性を示唆している。本研究では、後者に特に注目し、従来の交易条件外部性に加え、「調整外部性(coordination externality)」を内部化するために、貿易協定に新たな役割が生じるのかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響、ならびに、健康上の理由、さらに転職等により、2020年度以降、通常通りの研究活動を継続することが難しい状況が続いた。とりわけ、個人研究として進めている本研究課題に費やせる時間が制限されてしまい、計画が後ろ倒しになってしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の交易条件外部性に加え、「調整外部性」を内部化するために、貿易協定に新たな役割が生じるのかについて、引き続き、理論的に分析していく。公共経済学分野の知見を貿易協定の文脈に応用して、「調整外部性」に対処するための国際協調のあり方を検討しようとしている。また、通商協定の設計のあり方を経済学的視点から検討するにあたって、通商法(WTO法)分野で蓄積された知見と有機的に結びつけていきたいと考えている。
2024年度は、米国ダートマス大学への渡航がようやく実現する予定である。本研究課題の申請時当初から渡航を計画していたが予期せぬ事由によりずっと先送りとなっていた。ダートマス大学において、本研究を通して得られている研究成果を関連研究の研究者たちと共有し、フィードバックを得る有意義な機会としたい。
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