Project/Area Number |
19K13900
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics (2022-2023) Sophia University (2019-2021) |
Principal Investigator |
松平 けあき 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, プロジェクト非常勤研究員 (80833318)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 日系アメリカ人 / ハワイ / アメリカ軍 / 日本軍 / 二世 / 帰米 / 従軍 / 帝国 / オーラル・ヒストリー / 進駐軍 / 沖縄 / トランスナショナル / ナショナル / 日系アメリカ人二世 / 日本留学 / オーラルヒストリー / インタビュー / ライフヒストリー / 日本滞在 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題では、日本に滞在したのちにアメリカに帰国した「帰米」と呼ばれる日系アメリカ人二世に着目し、帰米のなかでも第二次世界大戦や戦後のアジア太平洋において日本語通訳・翻訳の任務でアメリカ軍に従軍した人々の経験を考察する。日本の帝国主義やアメリカの人種主義を経験した帰米の従軍を取り上げることで、これまで二世兵士のナショナル・アイデンティティや忠誠心が疑いのないものとして自明視されてきたことを問い直す。そのために、帰米のオーラル資料、手記、自伝を用いたライフヒストリー分析をおこない、帰米がアメリカ・日本への心理的距離感をいかに保ちながら自身の従軍経験を意味づけてきたのかを明らかにしていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、研究課題のまとめに向けて、これまで収集した日系アメリカ人二世の従軍経験に関する個人史を全体的に位置づけなおすことを目標とした。具体的に、ハワイ社会と日系二世兵士の個人史をいかにつなげられるか検討した。先行研究では、ナショナルレベルで日系二世兵士がとらえられてきた一方、ハワイ出身者で構成されたグループ(第100大隊やVarcity Victory Volunteers)についてハワイのローカル社会の視点を含めた研究も発展してきた。しかしながら、本研究課題で対象とするアジア太平洋に従軍した日系二世について、個人史はあるものの、ハワイ社会との関係で検討されることはあまり多くなかった。そのため、ローカル社会の影響を含めて「日本滞在経験を持つ日系二世の従軍」について研究を進めている。第二次世界大戦前に日本に住んでいた日系二世のうち、開戦前にハワイに帰った人々(帰米二世)は、開戦後「日本につながりがある」として抑留の対象となった。一方、日本語能力や日本にかんする知識が重視され従軍した人もいた。このように、ローカル社会をとらえることで、従軍した個人だけでなく抑留された日系二世との関連も含めて日本滞在経験を持つ日系二世の戦争を考える視点を獲得している。研究発表として、研究会にてハワイ社会と日系二世従軍について発表し、国際学会にて第二次世界大戦で日本軍に従軍し戦後ハワイに帰った日系二世の語りを論じた。引き続き、個人のライフヒストリーをローカル、国家、帝国やトランスナショナルのレベルに位置づけて検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
移動する日系二世の個人史を戦争、ローカル、国家など大きな枠組みのなかで論じているが、多様な個々の経験をつなぐ一貫した論点が未だ弱いと感じている。現状、日本に滞在した経験を持つ日系二世が、戦争経験を通じて日本およびアメリカに対する考えをどのように肯定的・否定的に構築したかについて検討している。さらに、戦時中の態度だけでなく、戦後の語りに現れる想起にも着目している(たとえば「日本が正しいと思っていた」という語りなどは「現在はそう思わない」という含意がある)ため、戦中だけでなく戦後史も含めて日系二世のアイデンティティ構築を考える必要があると感じている。次年度は、時間軸にも意識を向けて研究課題のまとめに向かいたい。 2024年度を最終年度として課題の延長を決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、これまで入手したライフヒストリーを用いて論文執筆をおこなう。これまでの研究発表で取り上げた個々の事例と、発表で得られたコメントを振り返り、一貫した議論を組み立てていく。日本滞在経験を持つ日系二世の体験記、インタビュー記録の分析にあたっては、日本滞在期間の長さ、時期、年齢を考慮してかれらが表明するアイデンティティを理解しようとしてきた。加えて、日本語の資料と英語の資料があり、語りの使い分けや、言語と国家への帰属意識に関係性が見出せないか検討していく。また、次の研究課題の応募に向けて、新しい課題設定を見つけたい。
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