Project/Area Number |
19K13928
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
矢内 真理子 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (10822760)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 福島第一原子力発電所事故 / 新聞 / 署名記事 / 地方 / メディア論 / 報道倫理 / 言説分析 / 報道 / マスメディア / ジャーナリズム |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、福島第一原子力発電所事故のマスメディアの報道や表象において、テレビ、ラジオ、新聞、週刊誌やマンガ等のマスメディアが相互にどう影響し補完しあっているのか、どのような言説構造を用いて原発事故という社会的現実を構成しているのかを明らかにすることである。申請者がこれまでに行った原発事故報道分析を基盤に①分析対象を広げて報道内容の言説分析を行い②報道従事者の聞き取りによる、内容分析と現場の声の比較分析を行う。最終的にはメディアと受け手である市民の意識のギャップを埋めるにはどうすべきなのかを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績は、学会発表2本である。また、査読審査中の論文が1本ある。 まず、「『朝日新聞』の署名記事からみる福島第一原発事故報道」を「日本災害情報学会第27回学会大会(矢内真理子、於福島学院大学)」で2023年10月28日に発表した。この研究は、2021年に刊行した論文「署名記事からみる福島原発事故報道―『毎日新聞』を事例に―」(矢内真理子『評論・社会科学』138号、pp.63-83)と比較するために実施したものである。本研究は、『朝日新聞』の東日本大震災発生から1週間の全国面・福島県の地方面を対象に、記事の署名を手掛かりに、地元記者の役割を再検討することを目的とした。その結果、県内の支局記者が書いた記事はごくわずかであること、県内の支局記者が書いた記事は地震・津波の被害や、福島原発事故からの避難者に関する記事であり、直接的に原発事故を報じる内容ではなかった。以上のことから、地理的に原発から近いところにいたとしても、原発事故の取材活動には有利に働かなかったことが判明した。この通常の取材活動ができない制約された状況こそが、原発事故の特殊性であり、『毎日新聞』の研究で得られた結論を補強することとなった。なお、この報告で得たフィードバックを元に加筆修正した論文を投稿し、現在査読審査中である。 続いて、「福島第一原子力発電所事故とマスメディア」を「東日本大震災・原子力災害第2回学術研究集会(矢内真理子、於福島県コラッセふくしま)」で2024年3月19日に報告した。この研究集会は、東日本大震災に関する研究を実施する研究者の交流を目的に実施された。筆者は今回初めての参加だったため、2011年から現在までに実施した研究の概要と、通底する問題意識を報告した。また、集会では、様々なジャンルの研究者による多様なアプローチの報告を聞くことができ、筆者にとって大きな励みになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、当初の予定から複数の理由により延長し、現在にいたる。2020・2021年度は新型コロナウイルス感染症のために緊急事態宣言・まん延防止等重点措置などが実施され、社会的な状況から、本研究の遂行も影響を受けたため、補助期間を延長した。2022年度には出産・育児のため研究を中断した。2023年度は研究発表や論文投稿を実施することができ、一定の進度はあったものの、2021・2022年度の影響から研究の進捗は「やや遅れている」と判断した。そのため、研究期間をさらに1年延長し、2025年3月まで実施することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は6月に日本メディア学会で口頭発表を行う。報告のタイトルは「昭和戦前期における新聞倫理に関する一考察―「新聞道」に着目して―」である。これまで、新聞の原発事故報道を中心に研究を進めてきた。その際に新聞記者らが取材活動の常識とするジャーナリズムの規範像がどこからやってきたのか、その規範像は原発事故報道を語る上で妥当なのかを探る必要がでてきた。そのため、日本の新聞の倫理基準として広く認識されている新聞倫理綱領の旧版(1946年制定)にあった「新聞道」という言葉に着目し、昭和初期から戦後直後までの文献にあたり、「新聞道」の用法を収集しているところである。この報告ののち、発表のフィードバックを得て、論文化することが直近の目標である。
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