認知症高齢者に対するアウトリーチ支援:二者関係で生じる困難と求められるスキル
Project/Area Number |
19K13937
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
川西 智也 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (30824734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | アウトリーチ / 認知症 / アウトリーチ支援 / 地域包括支援センター / スキル |
Outline of Research at the Start |
近年、医療や介護などのサービスを自ら求めず、生活の困難を深める認知症高齢者に対するアウトリーチ支援が広がりつつある。だが、訪問に対する拒否など、実際の援助では相応の困難が生じることも少なくない。そこで本研究は、地域包括支援センター職員を対象に、自ら支援を求めない認知症高齢者に対するアウトリーチ支援の実践についてインタビュー調査を行う。特に、認知症高齢者との二者関係に焦点化し、支援上の困難とその対処について明らかにする。その知見をもとに、アウトリーチ支援を担う援助職に求められるスキルを同定する。本研究から得られる知見は、認知症高齢者へのアウトリーチ支援技術の発展に貢献しうるものと考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は認知症高齢者へのアウトリーチ支援について以下の三点を明らかにすることにある。①アウトリーチ支援の過程のなかで、援助職が抱える困難の構造を明らかにする。②アウトリーチ支援に伴う困難に対し、援助職がどのように対処して支援を展開させているかを明らかにする。③アウトリーチ支援に求められるスキルを同定し、援助職による実践に資する知見を提供する。 ②に関連して、認知症家族介護者に対するオンラインによるCBT(認知行動療法)プログラムを実践する心理職に調査を行った。その結果、プログラムの特性上参加者とのやりとりで見逃されやすい点もあるが、共同治療者の俯瞰的視点によりそれを補完していることが示された。アウトリーチ支援は複数の援助職で行うことが多いが、主として対象者とやりとりする援助職とは別に、それを俯瞰する援助職の重要性が示唆された。本研究は日本老年精神医学会で発表した。 ③に関連して、訪問型CBTやACT(包括型地域生活支援プログラム)におけるアウトリーチスキルに関する知見を概観した。その結果、支援の前提として対象者との作業同盟の構築が必要となること、それには外来型支援とは異なり、支援者の存在を知ってもらうこと、訪問者としての適度な遠慮を保つこと、訪問先の家庭の文化に合わせること等が求められることが示された。本研究は日本認知療法・認知行動療法学会で発表した。 アウトリーチ支援の対象には、診断後適切な支援につながらないまま症状や生活上の困難を深める「空白の期間」を過ごす者も含まれる。そこで②と③に関連して、診断を受けた者やその家族への心理支援に従事する心理職と議論を重ねた。そこで得た知見は日本心理臨床学会で発表した。また、認知症ケアに携わる心理職の現場が拡大しつつある現状を鑑み、コミュニティでの心理職に求められるスキルや課題を検討した。本知見は老年臨床心理学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から、地域包括支援センターや初期集中支援チームなど、アウトリーチ支援に従事する機関の専門職の協力を得ることに難航した。一方で、電話相談やオンラインによる支援など、外来型の支援とは異なる様々な援助形態で認知症の人やその家族を支援している心理職の協力が得られ、現在研究を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画段階で予定していた研究協力者とは異なるものの、引き続き認知症ケアに携わる心理職の協力を得つつ、研究を進めていく予定である。遠方の研究協力者には、オンラインによるインタビューの実施を検討している。
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Report
(4 results)
Research Products
(9 results)