中国の介護市場に進出した日本式介護の質評価指標の開発および実証研究
Project/Area Number |
19K13960
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
郭 芳 同志社大学, 社会学部, 助教 (70755389)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 日本式介護 / 中国 / 介護観 / 介護サービス / 介護保険制度 / 質評価 / 評価指標 |
Outline of Research at the Start |
申請者は、現在の中国が抱える介護の課題に対して、日本で培われた質の高い「日本式介護」サービスの導入が有効であると考える。実際に近年、「日本式介護」は中国の介護市場に進出したが、一方で利用者獲得困難や現地サービスとの差別化に苦慮している。そこで、日本式介護サービスの導入を促進するために、その質の高さと意義を実証的に示すことが本研究の目的である。 具体的には、第1に国内外の介護の質評価の指標と理論を検討し、独自な評価指標を開発する。第2、何をもって日本式介護サービスの質が高いと言えるか、日中比較の視点から実証的に明らかにするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
今までの研究では、日本の介護事業者は中国人介護人材を現地採用し、「日本式介護」サービス展開において、職員の姿勢が整えられていないため、維持したい日本の強みがなかなか浸透させられないことが、事業者を悩ませている課題であることが明らかにした。日本の事業者が直面している課題、特に職員との交流の障害による課題の原因は、中国人介護人材の介護観による影響ではないかと思われる。そこで、中国の介護観を持つ中国人介護人材は日本の介護施設で働く場合、どのように「日本の介護」を理解しているかを明らかにしたく、2022年度には、日本に来ている介護技能実習、特定技能、留学介護の在留資格を持つ中国人介護人材にインタビュー調査を行った。 その結果、来日した中国人介護人材が理解している日本の介護の特徴として、「尊厳の保持」、「自立支援」、「利用者本位」、「ケアプラン」、「きめ細かなサービス」、「働き方」が挙げられた。中国人介護人材が理解している日本の介護の特徴は日本の介護保険制度を貫く理念や考え方と一致した。つまり、中国人介護人材が持っている介護観は日本の介護の理念や考え方への正しい理解に影響していないことがわかった。「ケアプラン」、「きめ細かなサービス」も「日本の介護サービスメニューは豊富」や「介護予防や高齢者の状態により異なるサービスが揃っている」などの特徴への理解である。 中国人介護労働者はどのようにしてここまで日本の介護の特徴を理解できたか。一つ目は、外国人介護労働者の受入れの各種制度において、来日前に外国人介護労働者が満たすべき一定の技能水準が決められているからである。一緒に働く日本人職員から影響を受けたりすることも一つの要因と考えられる。三つ目は、中国の介護と日本の介護を比較して、異なる部分が日本の介護の特徴であると理解したと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大のため、海外フィールドワークができなくなったことに加え、2022年度に産前産後休暇及び育児を約10か月間研究から離れていた期間がある関係で計画が大幅に遅れ、さらに2023年度まで研究期間を延長している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、中国に進出した日本の介護事業者が提供している日本式介護の特徴を明らかにすることを目的としている。2023年度は最終年度であるため、調査の継続と研究成果の発表に注力していく。 まず調査の継続については、現地にて、サービスの提供者である中国人介護職員を対象にインタビュー調査を行う予定。調査を通して、中国人介護職員の認識に基づいた「日本式介護」の特徴を明らかにする。 次に研究成果の発表としては、すでに日本に来ている中国人介護労働者へのインタビュー調査についての論文を投稿済みであり、その掲載を待っている状態である。さらに、日本式介護施設で働く中国人職員へのインタビュー調査についても国際学会での発表や論文として成果物を作成していきたいと考えている。
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Report
(4 results)
Research Products
(7 results)