Project/Area Number |
19K14061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
和田 正法 三重大学, 教育推進・学生支援機構, 准教授 (10724990)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 工部大学校 / 技術教育 / 工業教育 / 帝国大学 / 工学教育 |
Outline of Research at the Start |
工部大学校は、明治初年に日本の西洋技術の導入を先導した技術教育機関として、日本の歴史において重要な位置にある。本研究「工部大学校を中心とした明治前期技術教育の総合的研究」は、これまでの工部大学校に関する研究を総合し、同校が日本の工業化に果たした役割を描き出そうとするものである。本研究は、明治期の技術教育の観点から工部大学校の全体像を描き出そうとする初めての研究である。この成果は、ひとつの教育機関の歴史を解明するにとどまらず、教育史における教育と工業化の関係や、技術史における技術の発展のパターンの解明といった、従来取り組まれてきた課題を大きく進展させるであろう。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、従来から計画にあった、2022年7月にパリで行われる国際会議The 19th World Economic History Congressにおいて、ドイツをはじめとする研究者からの招聘を受け(2021年度)、東アジアの人材育成と経済発展の歴史的アプローチに関するシンポジウムに参画し、その成果として国際誌で論文を発表するなど、研究を進展させることができた。すなわち、本申請の主題である工部大学校卒業生を中心として、明治期における日本人技術者の就職活動を分析することで、産業発展を起こすための技術者の教育に関する社会的・思想的な背景について解明した。工場労働者が働く現場では、伝統的な製造現場における労働環境が、学卒技術者が働くことのできる近代的な業務制度にとって代わる過渡期であったことを明らかにした。本研究では、従来の公式的記録に加えて、技術者たちが回想録で証言する就職や労働環境に関する記述を収集し、調査の対象とした。この一連の研究調査によって、江戸時代に生まれ育ち封建の感覚を背負っていた初期の技術者とは異なり、明治以降に生まれ育った人物には民間に対する感覚が生まれながら異なっていたとみられることを明らかにした。実際、工業化の初期には、企業にはエンジニアを雇用する余裕がなかったという実情があった一方で、産業の進展にともなって、被雇用者である学卒エンジニアの民間企業に対する意識が変化した。このように、従来の工部大学校に関する研究を、当時の社会経済の中に位置付けて明らかにすることができたことが本年度の成果である。一方で、時代をさかのぼる方向に研究を拡大しきれたとはいえず、今後の課題として残っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの取り組みの成果を刊行した点で、大きな進展がみることができた。史料の収集を目的とした現地調査は当初の計画とは大きく異なっていることは確かであるが、技術者の回想録等、入手が可能な資料を得るという代替的手段で補うことができたと考えている。本申請に基づく研究が対象とする期間のうち、時代を下る側には大きな進展を見せたが、時代をさかのぼる方に進展できたとは言い難いものの、コロナ禍における制限を考慮すれば、この困難は想定の範囲内にあるのではなかろうか。また、補助事業期間の延長制度を利用することで、ある程度挽回できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の再延長を行うことで、これまでに展開できなかった本申請に基づく研究が対象とする期間のうち、時代をさかのぼる方への検討を行う。研究計画の進度にかかわらず、情報収集や国内外の研究者との意見交換は継続的に行う。対面での参加がかなり可能になってきたため、状況を注視しつつ出張を行うことを視野にいれつつ、研究会や会議へのリモートによる参加も引き続き利用する。
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