イタリアにおける市民性育成の取り組み-学校と地域社会との関りに着目して-
Project/Area Number |
19K14062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
徳永 俊太 京都教育大学, 大学院連合教職実践研究科, 准教授 (10582265)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2019: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | イタリア / 歴史教育 / 市民性 / 記憶の学習 / 地域 / 市民性教育 / 学校 / 地域社会 / 現代史教育 / 憲法 / 教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、市民性の育成において学校教育と地域社会がそれぞれに果たす役割と連携の在り方について考察するために、様々な場所で行われている市民性育成に関わる教育の、制度上の意図、教育者の意図、子どもの学びに対する解釈、そしてそれらの間のズレに着目する。ズレを見ることで教育活動を実施する際の問題を明らかにするとともに、まだ制度化されていない市民性の育成に関わる新たな可能性を見出すことができると考える。さらに、特定の領域だけではなく、社会における教育全体を意識しながら包括的な考察を行う。研究手法としては、文献調査や制度調査に加えて、インタビュー調査、授業観察、参与観察などを用いる予定である。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、昨年度に引き続きイタリアへの渡航の目途が立ちにくかったため、研究成果をまとめた論文の執筆を中心とした。2021年度の末に投稿した研究論文は、再査読の結果不採用となったため、2022年度末に修正のうえ、教育目標・評価学会の紀要に投稿をしている。2023年5月現在は、査読結果を待っている状態である。これらの論文では、学校と地域と市民性をつなぐ鍵として、記憶(ファシズム期の市民の暮らしやレジスタンス活動)の学習を中心的なテーマとして扱っている。 2022年度は、コロナ禍で市民性にあり方に変化を生じていることを鑑みて、新しい市民性の在り方についての研究も行った。それは、SDGsや環境に関する学習で、イタリアでは市民教育科という新しい学科が設置され、その中で市民性と関連付けた学習が行われていることが明らかになった。合わせて、環境に配慮した学校施設の建設なども進められている。この研究成果は、2022年8月に行われた日本教育学会のラウンドテーブルにおいて、「気候変動教育の課題を問う―イタリアにおける気候変動教育の必修化をふまえて―」というタイトルで発表した。 2023年春に出版された総合・探究学習に関する編著(伊藤実歩子『変動する総合・探究学習―欧米と日本 歴史と現在―』)の中で発表したイタリアの労働教育に関する論考も、本研究課題の成果が間接的に活かされている。この論考では、市民性教育の中で労働がどのように位置づけられているのかを考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、現地イタリアでのフィールドワークを研究方法の中心としていたものの、2020年2月から現在まで、コロナ禍のために海外渡航の目途がたちにくかったので、研究は遅れていると自己評価している。2020年度から着目している記憶の学習では、その学習を行う記憶の場(記念碑や悲劇的な出来事が起こった場所など)が重要視されており、文献研究だけではなく、研究者自身がその場に行く必要があると考えている。 現地からの情報では、調査対象となる現地イタリアの教育活動は多くが再開されているとのことなので、新学期が始まる9月ごろから現地での調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度から、学校と地域と市民性を結びつけるものとして記憶の学習に着目して研究を進めている。これまでの市民性教育とは異なった知見が得られたため、今年度も引き続きこのテーマを中心に置いて研究を進める予定である。 この研究の中心となる海外でのフィールドワーク、特に学校への訪問などは、2023年春の時点で一定の目途が立ってきたので、今年度は2回の渡航を行う予定である。1回目は9~10月に行い、地域で行われる記憶の学習を見学する。2回目は2月に行い、地域で行われている記憶の学習を見学するとともに、教員および主催している団体へのインタビュー調査をする予定である。文献研究の結果と合わせて、研究成果を発表・論文で公表する。その際に、研究実績に示した労働教育とSDGsに関する教育の研究成果も盛り込む。 研究成果の発表に関しては、以下のような予定である。(1)現在投稿している査読論文が受理された場合。10月の日本教育方法学会での発表と同学会紀要への論文の投稿を行う。上述した海外でのフィールドワークでの成果を踏まえて、3月末締め切りの日本社会科教育学会の紀要への投稿を行う。(2)受理されなかった場合。9月締め切りの日本カリキュラム学会の紀要に修正した論文を投稿するとともに、12月の教育・目標評価学会での発表、3月末締め切りの教育目標・評価学会紀要への投稿を行う。
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Report
(4 results)
Research Products
(4 results)