対話の相互作用モデルの構築と数学学習を深める授業デザイン原則の抽出の往還
Project/Area Number |
19K14204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松島 充 香川大学, 教育学部, 准教授 (70804128)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 対話 / 社会文化的アプローチ / 知識構築 / 学習共同体 / 文化 / 算数・数学学習の深化 / 対話の相互作用モデル / 授業デザイン原則 / 専有 / Commognition |
Outline of Research at the Start |
本研究は理論研究と実践研究を往還させたデザイン研究であり、学級内のすべての子どもが対話に参加し、算数・数学学習を深めていく学習の実現を目指す。そのために、理論研究として、話し言葉、動作等を組み込んだ対話の相互作用モデルを構築する。 実践研究としては、このモデルを基盤として授業実践を行う。同一授業内でより算数・数学学習が深まったグループとそうでないグループを比較考察して要因を抽出し、再実践・再分析を続けていく。この実践と分析のサイクルを繰り返すことで、目的とする授業を実践するための授業デザインを修正し続ける。またこの継続的な分析から理論的な示唆を得て、対話モデルの修正も試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、算数・数学学習を深める個と個の対話、個と学習集団の対話の両者を包括する対話の相互作用モデルを理論的に構築すること、そして、そのモデルを基にした授業実践から得られた特徴から、すべての子どもが算数・数学学習を深める授業デザイン原則を抽出することである。 理論研究として2019年11月に、対話によってどのように数学学習が深まるのかの対話モデルを日本数学教育学会で発表した。2人の学習者とその学習者が所属する学習共同体の3者モデルである。このモデルは、松島(2018)のモデルを基に社会文化的アプローチの視点からの考察をさらに推し進めたモデルである。このモデルにより、単に話を聞くよりも自ら話す方が望ましい知識構築につながる可能性が高まることが示された。今後は、聞き手の立場を細分化することで、この対話モデルの理論的精緻化を図る必要がある。 実践研究として2019年11月に中学校での授業研究を2回、2020年2月に小学校での授業研究を1回行った。授業研究の目的は、すべての子どもが対話によって算数・数学学習を深めていく授業の実現である。小中学校の実践からは共に操作活動の重要性が再認識されたが、それ以上に学習共同体の知識構築に向かう文化形成の重要性が浮き彫りとなった。今後は、対話によって数学の知識構築をすることを通して、どのように学級の知識構築を重視する文化形成を促進していくかが、すべての子どもが対話によって算数・数学学習を深めるための重要な視点となる。 なお、理論研究と実践研究を接続するデザイン研究は、小・中学校共に同様の授業研究を複数回行う際に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究では、社会文化的アプローチの視座から考察を深めることによって、算数・数学学習を深める対話モデルが徐々に精緻化されてきており、研究は順調に進んでいる。 実践研究では、1回目のモデル授業を1年目に行うことができた。研究2年目には、それらのモデル授業を基に、デザイン研究の方法論を用いて理論と実践をつなげる研究を展開していく予定である。そのため、研究は全体として順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究では、算数・数学学習を深める対話モデルの精緻化を目指す。そのために、話を聞くことで学びを深めている学習者と、話を聞いていても学びを深めていない学習者の違いに着目し、この違いを対話モデルに盛り込んでいく。積極的聴者と受動的聴者の先行研究を参考にする。また学習共同体の文化についての先行研究を概観し、学習共同体の文化の状態を記述する枠組みを模索していく。 実践研究では、学習共同体の文化を記述する枠組みを基に、文化の状態についての記述と算数・数学の学びの深まりを関連付けながらデザイン研究を行っていく。算数・数学学習の深化の変化、学級の文化の変容について考察する。 さらに、「すべての子ども」を対象とすることの意義を明確にする。そのために教育学や数学教育におけるEquity研究を概観し、本研究における「すべての子ども」を定義する。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)