被災校における災害経験からの学びと共有-教育課程の編成と改善に着目して-
Project/Area Number |
19K14224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | National Institute for School Teachers and Staff Development |
Principal Investigator |
吉田 尚史 独立行政法人教職員支援機構(事業部事業企画課), 事業部, 助教 (80836502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 自治体を超えた協働組織 / 支援 / ネットワーク / カリキュラム / 課題解決学習 / 災害経験の継承 / 社会課題 / 教科 / 防災教育 / 学校と地域の関係 / 教育長 / 災害経験 / 課題解決型学習 / 教育課程 / 継承 / 郷土学習 |
Outline of Research at the Start |
近年、災害経験を次世代にどのように伝えるかという課題が生起している。次世代の社会形成を担う学校はこの課題を等閑視できない。では、被災した学校は学校教育にどのように災害経験を位置づけたのか。この問いを探求するため、本研究は東日本大震災後の環境変化を捉えながら学校教育を構築した浪江小学校の事例分析を行う。 具体的には、まず浪江小学校における教育課程の編成・実施に注目して「ふるさとなみえ科」の創設・展開過程を明らかにする(1・2年目)。次に「ふるさとなみえ科」を創設・展開した促進要因と阻害要因を明らかにする(3年目)。最後に浪江小学校の事例分析に基づいて、災害経験を継承する方策を提示する(4年目)。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、被災校における災害経験からの学びと共有のメカニズムを明らかにすることである。2022年度は、第一に、「ふるさと創造学」の展開過程を明らかにするために、「ふるさと創造学」策定後の「福島県双葉郡教育復興ビジョン推進協議会」(以下、推進協議会)による個別学校への支援に関する調査に取り組んだ。「ふるさと創造学」策定後の学校現場では、「ふるさと創造学」がトップダウン的な取り組みとして理解されるとともに、震災前の地域を懐古することや町村への帰還促進を目的とした教育ではないかという疑念があった。そこで、推進協議会は、自治体を超えて教職員が協働して、さまざまな取り組みを主体的に展開できる仕組みづくりを目指した。その過程で、双葉郡の学校教育関係者は「ふるさと創造学」の意義を捉え直すとともに、教職員や児童生徒の自治体を超えたネットワークが形成されていた。 第二に、「ふるさと創造学」が各学校でいかに取り組まれているのかを明らかにするために、大熊町立大熊小中学校におけるカリキュラム編成過程に関する調査に取り組んだ。震災後の大熊小中学校では、放射線教育を中核とした課題解決学習に取り組み、復興という社会的要請を強調したカリキュラムを編成・実施していた。その後、児童生徒の減少と町への帰還という課題が認識される中で、大熊町教育委員会は学校教育の存続に危機感を抱いた。そこで、大熊町教育委員会は震災後に再開した学校の閉校と「学び舎ゆめの森」の開校を決定した。「学び舎ゆめの森」のカリキュラムの検討のプロセスでは、復興という社会的要請を強調する限界を認識し、心理的要請を強調するカリキュラムが創設された。また、教職員は、総合だけでなく各教科においても社会課題解決に取り組む必要を認識するとともに、そこでの教師の役割を捉え直していた。 今後は、他の調査結果を踏まえながら、より詳細な分析に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の調査結果から個別学校のみに焦点を当てる限界が示唆されたことを踏まえて、2020年度に研究対象を拡大することにした。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で調査実施に制限が生じた。その中でも調査をできる限り継続して実施してきた。 新型コロナウイルス感染拡大の影響がある中で、2022年度は、第一に、「ふるさと創造学」を策定した「福島県双葉郡教育復興ビジョン推進協議会」による各学校への支援の内実とそのプロセスを明らかにするために、「福島県双葉郡教育復興ビジョン推進協議会」に勤務していたコーディネーターや事務員への聞き取り調査と資料収集に取り組んだ。第二に、震災後の大熊町立大熊小中学校におけるカリキュラムの変化とそこでの教職員の役割を明らかにするために、大熊町立小中学校の教職員や大熊町教育委員会の指導主事への聞き取り調査と資料収集に取り組んだ。それら成果の一部は、日本学校教育学会第36回大会及び日本カリキュラム学会第33回大会で発表した。 以上の通り、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、当初の予定よりも調査実施が遅れているが、調査結果を適宜発信することができていることから、「(3)やや遅れている。」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、これまで実施してきた調査結果を取りまとめて、より詳細な分析に取り組む。それとともに、追加の聞き取り調査や資料収集に取り組む。また、楢葉町立楢葉中学校及び大熊町立小中学校の調査結果を現在取りまとめており、今後投稿予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(9 results)