Project/Area Number |
19K14523
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 11020:Geometry-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 咲衣 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (40636263)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | quantum invariants / knots and links / framed 3-manifolds / ideal triangulations / universal invariant / ideal triangulation |
Outline of Research at the Start |
1984年のジョーンズ多項式の発見を転機として,3次元位相幾何学は大きく発展し,量子不変量に関連した様々な方向への研究が現在活発に行われている.量子不変量は数理物理を背景に持つ結び目や3 次元多様体の新しい研究手法であり,古典的なトポロジーの研究との関係が明らかではない.本研究では,結び目や3次元多様体の量子不変量を古典的なトポロジーの道具である単体分割を用いて理解することで,低次元位相幾何学を多角的に発展させる.
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Outline of Annual Research Achievements |
村松滉平氏(みずほリサーチ&テクノロジーズ)、田口光希氏(東京工業大学)との共同研究により、Benedetti-Petronioによるcombed 3次元多様体と3次元多様体のnormal o-graphによる組み合わせ的表示を改良した。normal o-graphの同値関係には、branchingを考慮すると16種類のMatveev-Piergallini moveが現れるが、それが主要なMatveev-Piergallini moveひとつとpure sliding moveの列で得られることを示した。さらにこの結果をframed 3次元多様体とspin 3次元多様体に対して拡張した。 鈴木拓己氏(東京工業大学) との共同研究により、折れ線結び目のパーシステントホモロジーを定義し基本的な性質を調べた。正円上に頂点をもつ多角形に対してはそのパーシステントホモロジーの挙動を完全に決定した。三葉結び目と8の字結び目に対してはそのパーシステントホモロジーのパーシステント図がそれらの結び目の幾何学的対称性を反映していることを観察した。 R. Kashaev、E. Nakazawa、S. Garoufalidisとの共同研究により、Benedetti-Petronioによる3次元多様体の表示に現れるCP moveがより簡単なmoveの列として表されることを示した。この簡単なmoveはquantum Teichmuller理論において現れるmoveであり、その理論がトポロジカルな不変量になることを示す際に使われる。 結び目の補空間のcanonicalなframingを構成した。このframingはある観点から量子不変量と相性の良いもので、このframingを用いて量子不変量の幾何学的性質を調べることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
村松滉平氏(みずほリサーチ&テクノロジーズ)、田口光希氏(東京工業大学)との共同研究では考えていた以上の良い結果が複数得られた。この研究による3次元多様体の表示により、量子不変量の幾何学的性質を調べる土台が強固になった。 鈴木拓己氏(東京工業大学) との共同研究では結び目のパーシステントホモロジーという新しい研究を立ち上げることができた。コンピューターによる計算プログラムもできて、実験環境が整った。 R. Kashaev、E. Nakazawa、S. Garoufalidisとの共同研究でも思った結果がすぐに得られた。これを使ってquantum Teichmulle理論を調べることができる。 結び目の補空間のframingは量子不変量の幾何学的理解が難しかった原因のひとつとも言えて、それを特定できたことは大きい進展だった。このframingを考慮すると量子不変量の幾何学的性質の研究を進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度までに寺嶋郁二氏(東北大学)とSerban Mihalache氏(東北大学)との共同研究によりframed3次元多様体の不変量を構成した. 結び目の補空間にそのcanonicalなframingを持った3次元多様体として上記の不変量の構成を適用し、結び目の普遍不変量を理想単体分割を用いて再構成することができる。この不変量は1成分の結び目の場合にはハイゼ ンベルグダブルに値を持つ不変量である。結び目の普遍不変量から、任意のReshetkhin-Turaev不変量が得られる。Reshetkhin-Turaev不変量はリボンホップ代数 の有限次元表現を指定することで得られる基礎体に値を持つ不変量である。この表現をハイゼンベルグダブルの中で調べることで、Reshetkhin-Turaev不変量を 理想単体分割から再構成することができると期待できる。これはJones多項式を補空間から構成することも含み、大きな未解決問題である。また、結び目の不変量からハイゼンベルグダブルのカノニカルな単純加群を用いてトレースを取ると、基礎体に値をもつ不変量ができる。この不変量はWitten-Reshetkhin-Turaev不 変量となることが予想され、予想が正しければ理想単体分割を用いたWitten-Reshetkhin-Turaev不変量の再構成となる。Witten-Reshetkhin-Turaev不変量の絶対 値は単体分割を用いたTuraev-Viro不変量から得られるが、Witten-Reshetkhin-Turaev不変量そのものを理想単体分割から得る方法は知られていない。また Turaev-Viro不変量に用いられる6j記号とハイゼンベルグダブルのカノニカル元を関係付けることでステイト和不変量との関係を明らかにすることも大切な課題である。これらの課題にひとつづつ取り組み解決していくことで本研究は大きく推進すると期待する。
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