理論と観測で相補的に迫る原始惑星系円盤構造形成から惑星形成に至る新たな描像
Project/Area Number |
19K14764
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
|
Research Institution | Kagoshima University (2022) National Astronomical Observatory of Japan (2019-2021) |
Principal Investigator |
高橋 実道 鹿児島大学, 理工学研究科, 特任研究員 (80838566)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | 原始惑星系円盤 / 惑星形成 / 自己重力不安定生 / 重力不安定性 / 微惑星形成 / 星形成 / 磁気制動 / 永年重力不安定性 / 輻射輸送計算 / 電波天文学 |
Outline of Research at the Start |
地球等の惑星がどのように形成されたのかを解明することは、現在の天文学の最も重要な課題の一つである。近年、惑星形成の現場である原始惑星系円盤の詳細な観測が進んでおり、多重リングなどの構造が観測され注目を集めている。このような構造は、従来の惑星形成モデルでは想定されてこなかったため、全く新しい惑星形成シナリオが必要とされている。 本研究では、理論と観測の両面から、原始惑星系円盤の形成進化に伴う構造形成と、その後の惑星形成について研究を行う。理論モデルを用いた円盤形成・進化の計算と、観測による円盤構造の統計的な理解から「多様な円盤構造を経て惑星形成に至る」という新たな惑星形成シナリオを構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究では、主に原始惑星系円盤の自己重力的分裂過程について研究を行った。原始惑星系円盤の自己重力的分裂は、連星系、褐色矮星、巨大ガス惑星形成のメカニズムとして注目されているが、これまで分裂条件は十分に理解されていなかった。申請者が行った過去の研究(Takahashi et al. 2016)では、自己重力による分裂条件は円盤の大局的な重力不安定性によって渦状腕が形成された後、「渦状腕構造自体が自己重力に対して不安定になる条件」で与えられることを明らかにした。この結果から、円盤分裂の条件の解明には、「重力的に不安定な渦状腕構造」を形成する条件を明らかにすれば良いことがわかっている。 原始惑星系円盤が重力的に不安定になり分裂しやすいのは、円盤形成過程で円盤に外からのガス降着がある場合である。そこで、本研究では、円盤へのガス降着の効果を取り入れた2次元流体シミュレーションを行い、円盤形成期における円盤の分裂条件について調べた。 円盤の大局的な自己重力不安定で形成される渦状腕構造は、渦状腕が作る重力トルクによる角運動量輸送を通して円盤のガス降着率と密接に関わっている。 そこで本研究では、質量降着率と渦状腕構造の関係を調べたところ、簡単な解析モデルと比較で整合的に説明できることがわかった。また、シミュレーション結果から、質量降着率、円盤半径が大きいほど分裂が起きやすいことが確認できた。 この研究成果は、天文学会年会や惑星科学会、研究会などで発表を行なっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記載したように、2022年度は主に原始惑星系円盤の自己重力的不安定生について、数値シミュレーションを通して理解を進めることができた。そのため、研究は概ね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、2022年度で得られた円盤分裂についてのシミュレーション結果をより詳細に解析し、円盤に形成される渦状腕構造と円盤中の質量降着率の対応を物理的に明らかにする。そして、円盤形成過程での分裂条件を明らかにする。 また、渦状腕構造が形成された、形成・進化の初期段階にある円盤のシミュレーション結果について模擬観測を行い、実際の観測結果と比較を行う。 この比較を通して、形成過程にある円盤の進化について、観測と理論の両面から理解を進めていく。
|
Report
(4 results)
Research Products
(22 results)