複合要因による損傷を有した鋼・コンクリート接合部の耐荷性能および危険性評価
Project/Area Number |
19K15079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 22020:Structure engineering and earthquake engineering-related
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗本 理 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (70737709)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 鉄筋腐食 / 配筋間隔 / ひび割れ進展 / 電食試験 / FE解析 / 異方性損傷 / 乾燥収縮 / 自己収縮ひずみ / 温度応力解析 / 鋼・コンクリート定着部 / 付着性能 / FEM / 腐食 / RC梁 / 両引き引張試験 / 鋼・コンクリート接合部 / 耐荷性能 / 複合要因 / 損傷統一力学モデル |
Outline of Research at the Start |
本研究では,目視できない鋼・コンクリート接合部や定着部を対象に,力学的要因(動的荷重)と環境的要因(鋼材の腐食やコンクリートの乾燥収縮)による損傷度を統一的かつ定量的に評価可能な解析手法の開発を目指す。 具体的には,力学的要因と環境的要因による影響を実験から把握すると同時に,それらの要因を統一的な損傷度として評価可能な力学モデルを構築する。さらに,損傷度を変えた接合部の非破壊検査による出力値と残存耐荷性能(実験・解析)の関係性を明らかにし,接合部の余寿命予測手法を提案するとともに,内部損傷に対する補修工法の一種である断面修復注入工法の有用性について検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、前年度の研究実績で浮き彫りとなった課題「本研究の対象構造におけるコンクリート内部の水分移動」に対して、当初は実験的もしくは解析的検討を遂行する予定であった。しかし、本研究の対象である鋼・コンクリート接合部ではコンクリートの乾燥収縮によるひび割れから水が浸透し、コンクリート母材内部に配筋された補強筋が腐食するといった劣化メカニズムを想定できる。そのため、鋼・コンクリート接合部の耐荷性能が著しく低下した状況下を考えた場合、補強筋の腐食は想定外のコンクリート母材の破壊に繋がり、鋼・コンクリート接合部の耐荷性能を著しく低下させる可能性が高い。よって、前年度の課題内容から方針転換し、コンクリート母材のひび割れと鋼材の腐食の関連性に関する研究を当該年度は実施した。 具体的な研究内容として、鉄筋の配筋間隔に着目して腐食した鉄筋がかぶりコンクリートのひび割れ性状に及ぼす影響について検討した。この研究ではかぶりを固定し配筋間隔を変えた試験体を対象に電食試験を実施し、コンクリート内部に発生する鉄筋間のひび割れがコンクリート表面のひび割れ進展挙動に及ぼす影響を把握することを目的とした。 その研究成果として、鉄筋径とかぶりが同じ状況で配筋間隔を変えた場合、配筋間隔が狭いケースでは鉄筋間のひび割れが先行するため、配筋間隔が広いケースに比べてコンクリートのかぶり表面に表れるひび割れ密度が小さいことを確認した。つまり、配筋間隔が狭い施工ケースの場合、コンクリート表面のひび割れ状況から内部鉄筋の腐食状況を適切に予測できない可能性があることが推測される。さらに、熱膨張による鉄筋の腐食表現や異方性損傷によるコンクリートひび割れモデルを用いたFE解析より、上記の実験によるコンクリートのひび割れ進展を定量的に把握可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、鋼・コンクリート接合部を対象とした数値解析においてコンクリートの経年劣化に関連した環境要因の1つであるコンクリートの乾燥収縮による影響を考慮可能なモデルを構築し、実験では困難な実規模サイズの鋼・コンクリート接合部を対象とした定量的耐荷性能評価を実施し,健全な状態における耐荷力に対する減少比率から接合部の危険性を評価することを目標としていた。 今年度の研究を遂行するにあたり、本研究で対象とする鋼・コンクリート接合部の耐荷性能に及ぼす影響は、コンクリートの乾燥収縮によるひび割れから水分が浸透しコンクリート母材内部に配筋された補強筋の腐食といった劣化メカニズムを考えた場合に補強筋の腐食による影響の方がコンクリートの乾燥収縮による影響よりも大きいことを踏まえ、前年度の乾燥収縮に関する課題内容からコンクリート母材のひび割れと鋼材の腐食の関連性に関する研究へと環境的要因に関する研究は方針転換した。 さらに、研究成果として「研究実績の概要」で上記したようにかぶりや鉄筋径を固定し配筋間隔を変えた場合に、補強筋が腐食した際にかぶりコンクリート表面のひび割れ密度が変化することを確認した。しかし、かぶりコンクリート表面のひび割れ情報とかぶりコンクリートの剥落危険性との相関関係を定量的に把握するまでに至らなかった。 上記の事情に加え、COVID19への対応や解析環境整備の遅延なども今年度の計画が遅れた理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策を以下に示す。 1)かぶりコンクリートの剥落危険性に関する検討 鋼・コンクリート接合部における母材コンクリート内部の補強筋が腐食した場合、コンクリート母材表面のひび割れ情報からかぶりコンクリートの剥落危険度を適切に評価できることは実務においても非常に有用な情報となる。そのため、かぶりコンクリート表面のひび割れ情報とかぶりコンクリートの剥落危険性との相関関係を定量的に把握することを目的とする。具体的には、電食試験から配筋間隔を変えることによりかぶりコンクリート表面に表れるひび割れ密度が変化することが当該年度に明らかとなった試験ケースを対象に、電食試験によりかぶりコンクリート表面のひび割れ密度を数段階に変化させ、かぶりコンクリート部分の剥落載荷試験を実施する。載荷試験方法は(株)高速道路総合技術研究所が発行する「NEXCO試験方法」を参考にする予定である。載荷試験結果により得られる耐荷力から剥落危険性とコンクリート表面のひび割れ情報との関係性を評価する。さらに、熱膨張による鉄筋の腐食表現や異方性損傷によるコンクリートひび割れモデルを用いたFE解析を使用し、上記載荷シミュレーションを再現し、解析手法の精度についても検討する。 2)実規模サイズの鋼・コンクリート接合部を対象とした定量的耐荷性能評価 上記で提案した解析手法を用いて、実規模サイズの鋼・コンクリート接合部を対象とした定量的耐荷性能評価を実施し,健全時、鉄筋の腐食を考慮した環境的要因による経年劣化時、さらに動的荷重などの力学的要因が作用した際の鋼・コンクリート接合部の耐荷性能を評価することで、環境的要因および力学的要因が鋼・コンクリート接合部の耐荷性能に及ぼす影響について検討する。
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Report
(4 results)
Research Products
(7 results)