糖部修飾型人工核酸アプタマー創出に向けた基盤技術の構築
Project/Area Number |
19K15702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 37010:Bio-related chemistry
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
星野 秀和 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 創薬デザイン研究センター, プロジェクト研究員 (40784848)
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Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 人工核酸 / 核酸アプタマー / アプタマー / 改変ポリメラーゼ |
Outline of Research at the Start |
核酸アプタマーは標的の分子に特異的に結合することのできる核酸分子であり分子標的薬として期待される。アプタマー開発にはポリメラーゼの複製反応で核酸ライブラリを作製する必要があるが、通常のポリメラーゼでは人工核酸(化学修飾を施すことで生体内安定性を高めた核酸)を用いた反応が進行しない。私はこれまでにDNAポリメラーゼを改変することで人工核酸の一つであるLNAに対応可能な改変ポリメラーゼの開発に成功した。改変ポリメラーゼを活用することで、人工核酸アプタマー開発に利用可能な人工核酸の種類を拡張し、人工核酸アプタマー開発における基盤技術の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
特定の標的分子に対して特異的に結合することのできる核酸アプタマーは分子標的薬として期待されている。しかし、天然のDNAやRNAで構成される核酸アプタマーは生体内で核酸分解酵素によって容易に分解されてしまう。そこで、核酸分解酵素耐性を有する人工核酸を用いることで、生体内でも安定的な効果を示すアプタマーを開発することができる。さらに、人工核酸の種類によって細胞膜透過性など様々な特性を付与することができるため、核酸アプタマーに適用可能な人工核酸の種類を拡張することは重要な課題である。核酸アプタマーの取得方法であるSELEX法では、核酸伸長酵素であるポリメラーゼによる転写・逆転写反応が必須であるが、通常のポリメラーゼでは人工核酸に対応できない。そのため人工核酸に対応可能な改変ポリメラーゼが必要である。 これまでに研究代表者は架橋型人工核酸である2′,4′-BNA/LNAを含むアプタマーを取得するために100種類以上の独自の改変ポリメラーゼを作製し、実際に人工核酸アプタマーの取得に成功している。そこで本研究では、改変ポリメラーゼを用いることで、人工核酸アプタマーに用いることのできる人工核酸の種類の拡張を目指した。 しかし、2′,4′-BNA/LNAよりも嵩高い種類の人工核酸の中には、これまでに開発してきた改変ポリメラーゼでは転写・逆転写反応の効率が不十分なものが見つかった。そこで、当該年度では新規改変ポリメラーゼの開発を実施した。その結果、非常に嵩高い人工核酸についても転写反応が可能な改変ポリメラーゼ、逆転写反応が可能な改変ポリメラーゼをそれぞれ開発することに成功した。嵩高い架橋型人工核酸は核酸分解酵素耐性が非常に高いため、より高性能な人工核酸を用いてSELEXを行うことが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで2′,4′-BNA/LNA以外に複数の架橋型人工核酸が開発されている。これらの架橋型人工核酸は、核酸分解酵素耐性が2′,4′-BNA/LNAと比べて非常に高く、機能的な官能基が付与されている。そのため、人工核酸アプタマーの素材として非常に魅力的である。しかし、これまでに研究代表者が開発してきた改変ポリメラーゼを用いてスクリーニングを実施した結果、転写・逆転写反応の効率が十分な改変ポリメラーゼが見つけられなかった。これは架橋部の官能基が2′,4′-BNA/LNAよりも嵩高く、天然の核酸との相違が非常に大きいためであると考えられる。そのため、当該年度は2′,4′-BNA/LNA以外の架橋型人工核酸に対応可能な新規改変ポリメラーゼの開発に取り組んだ。その結果、嵩高い架橋型人工核酸についても転写反応が可能な改変ポリメラーゼ、逆転写反応が可能な改変ポリメラーゼをそれぞれ開発することに成功した。 本研究課題では、これまでに人工核酸アプタマー開発に用いることのできる人工核酸の種類を増やすことに成功している。人工核酸の種類によって最適な改変ポリメラーゼの種類は異なっており、各種人工核酸と改変ポリメラーゼの相性について知見を得ることができた。また、各種人工核酸の反応の正確性についても評価した結果、いずれの人工核酸においても優れた正確性で反応を実行できることが示された。また、特定の低分子が人工核酸の伸長反応効率を向上させることを発見した。 本研究課題以前に開発してきた改変ポリメラーゼを用いたスクリーニングに加えて、新規改変ポリメラーゼの開発を実施することで、人工核酸アプタマーの開発に利用可能な人工核酸の種類を更に拡張することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
核酸分解酵素耐性が非常に高い架橋型人工核酸を用いてアプタマーを取得する準備ができたため、人工核酸アプタマーの取得を目指す。標的候補の一つとして、血中に存在する特定のタンパク質を予定している。既にDNAアプタマーが取得されているタンパク質であり知見も多いため、各種人工核酸アプタマーの評価のモデルケースとなり得る。実際にこれまで、研究代表者は人工核酸アプタマーの取得に成功しており、人工核酸の種類の違いを評価するには最適である。もう一つの標的候補は細胞内で局在するタンパク質を想定している。特定の人工核酸の性質によってアプタマーに細胞膜透過性を付与できると想定されるため、人工核酸アプタマーの細胞膜透過性の評価に用いることができる。核酸アプタマーの選別方法であるSELEX法を実施したのち、配列類似性、構造モチーフなどを参考に候補配列の中から配列をピックアップし、人工核酸アプタマーを合成する。作製した人工核酸アプタマーについては機能評価を行う。 さらに、得られた成果については、国内外の学会や学術誌で発表することで成果を広く社会に還元する。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)