警告色と隠蔽色の分化をもたらす生態的・遺伝的要因の解明
Project/Area Number |
19K16230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 紀之 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (00724965)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 色彩多型 / 繁殖干渉 / テントウムシ / 警告色 / 隠蔽色 / 捕食回避 / 色彩 |
Outline of Research at the Start |
警告色と隠蔽色という相反する機能をもつ形質が分化するためには、生態的状況が環境によって大きく異なり、かつその進化を可能にする発生・遺伝メカニズムが必要だと考えられる。この仮説を検証するべく、そのモデルとして、同じ種類の中で警告色と隠蔽色の両方が存在するクリサキテントウを対象に研究を行なう。まず、(1)「種間競争からの解放に伴ってニッチが拡大し、エサの種類に応じて体色が多様化した」ことを検証する。次に、(2)体色と色彩の変異をもたらす色素・遺伝基盤を警告タイプと隠蔽タイプで比較する。以上によって、体色の多様性を進化生態学と遺伝子レベルの双方のアプローチから統合的に解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
クリサキテントウの斑紋と色彩の変異を定量化するために、南西諸島各地(石垣島、西表島、宮古島、沖縄本島、慶良間諸島)にてサンプリング調査を行なった。これらのサンプルをもとに、標準化された暗室条件下にて標本撮影を行ない、捕食者(鳥類)の色覚を考慮した色彩の定量化を行なった。その結果、多くの島々では斑紋の個数にばらつきがあったものの、離島の個体群では斑紋の個数が少ない個体ばかりであった。クリサキテントウの本土個体群(本州など)では紅型の後翅後半部分には必ず黒斑が現れることが知られていた(近縁のナミテントウとの判別点のひとつとなっていた)ため、離島集団の斑紋は特異的なものであると考えられる。また、色彩(赤さの程度)を島嶼間で比較したところ、離島集団では赤味の少ない個体が多く見られた。これらの結果から、離島集団では斑紋が少なく赤くない「隠蔽的」な個体が多く、その他の島々では斑紋が多く赤みのある「警告的」な個体が多いことが示唆された。ただし、隠蔽的な個体と警告的な個体は明確に二分されるものではなく、中間的な色彩や斑紋(数と大きさ)をもつ個体も少なくなかった。中間的な個体の機能上のメリットは不明だが、このような形質が維持されていることで、隠蔽色から警告色への進化、またはその逆方向の進化は、ふつう想定されるよりも実現されやすいと考えられる。本研究は、同種の地理的・集団内変異を精査することで、隠蔽色と警告色という正反対の機能をもつ色彩がどのように進化したのか解明する手がかりとなると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響のために旅行が制限されていた年度があったため、当初の計画通りに調査と実験が進まなかったが、本年度は野外調査を実施できたため、その遅れを取り戻しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し、2023年度も調査と実験を行なうことにした。
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Report
(4 results)
Research Products
(6 results)